NIPTとは

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NIPTとは、妊婦さんの血液から、おなかの赤ちゃんに特定の染色体疾患がある可能性を調べる検査です。こちらの記事では、NIPTの仕組みや受けられる時期、費用に加えて、検査でわかること・わからないこと、精度の考え方、陽性・陰性・判定保留となった後の流れをわかりやすく解説します。

NIPTは精度の高い検査ですが、病気の有無を確定する検査ではありません。検査を必要以上に怖がったり、結果を過信したりしないためにも、どのような検査なのかを正しく理解しておくことが大切です。

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは

NIPTは、正式には「非侵襲性出生前遺伝学的検査」と呼ばれる出生前検査です。妊婦さんの腕から血液を採取し、血液中に含まれるDNAの断片を分析することで、おなかの赤ちゃんに「21トリソミー」「18トリソミー」「13トリソミー」がある可能性を調べます。

妊婦さんの血液中に含まれるDNA断片の一部は、主に胎盤に由来するものです。胎盤は受精卵から発生し、原則として赤ちゃんと同じDNAを持っているため、その情報を利用して検査を行います。

ただし、NIPTは染色体疾患の有無を確定する「確定的検査」ではなく、病気がある可能性が高いか低いかを調べるスクリーニング検査です。陽性となった場合も、それだけで赤ちゃんに病気があると確定するわけではありません。

いつから受けられる?

NIPTは、一般的に妊娠9~10週以降に受けることができます。検査を実施できる妊娠週数は医療機関によって異なるため、受検を検討している場合は、早めに医療機関へ確認しましょう。

採血から結果を受け取るまでは、一般的に1~2週間程度かかります。ただし、検査機関や検査結果によっては、さらに日数が必要になることもあります。

NIPTにかかる費用

NIPTにかかる費用は医療機関によって異なりますが、およそ10~20万円程度が目安です。遺伝カウンセリングの費用が別途必要となる場合や、検査費用に含まれている場合があります。

また、NIPTは基本的に保険が適用されない自費診療です。表示されている料金に、検査前後のカウンセリングや、陽性だった場合の羊水検査などの費用が含まれているかも確認しておくと安心です。

NIPTでわかること・わからないこと

NIPTを受ける前には、検査によって何がわかり、何がわからないのかを理解しておくことが大切です。

NIPTでわかること

出生前検査認証制度等運営委員会の認証施設で行われるNIPTでは、主に次の3つの染色体疾患がある可能性を調べます。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー

NIPTでは、それぞれの疾患について「陽性」「陰性」「判定保留」のいずれかの結果が示されます。

NIPTだけではわからないこと

NIPTでは、次のようなことまでは判断できません。

  • 赤ちゃんに対象となる染色体疾患があるかどうかの確定
  • 疾患があった場合の症状の重さや現れ方
  • 心臓や脳、手足などの形態的な特徴
  • 21・18・13トリソミー以外のすべての染色体疾患や遺伝性疾患
  • 先天性疾患を含む、赤ちゃんの健康状態のすべて
  • 出生後の成長や発達の経過

そのため、NIPTが陰性であっても、赤ちゃんに病気や身体的な特徴がまったくないことを保証するものではありません。通常の妊婦健診や超音波検査については、NIPTの結果にかかわらず継続して受ける必要があります。

NIPTの精度と陽性的中率

NIPTは、従来の母体血清マーカー検査などと比べ、対象となる3つの染色体疾患を高い精度で調べられる検査です。一方で、「精度が高い」「精度99%」という表現だけを見ると、陽性だった人の99%に病気があると誤解してしまうことがあります。

NIPTの精度を理解するためには、次の言葉の違いを知っておくことが重要です。

感度
実際に対象となる疾患がある人を、陽性と判定できる割合です。
特異度
実際に対象となる疾患がない人を、陰性と判定できる割合です。
陽性的中率
検査で陽性となった人のうち、確定的検査によって実際に疾患があると診断される割合です。
陰性的中率
検査で陰性となった人のうち、実際に対象となる疾患がない割合です。

「感度や特異度が99%以上」という情報は、陽性的中率が99%であることを意味するものではありません。陽性的中率は、対象となる疾患の種類や妊婦さんの年齢などによって変わります。

特に、もともとの発生頻度が低い疾患では、検査の感度や特異度が高くても、陽性となった人の中に実際には疾患がない「偽陽性」が含まれることがあります。このため、NIPTで陽性となった場合には、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を検討します。

公的データで見る2024年度のNIPT実施状況

出生前検査認証制度等運営委員会が公表した令和6年度(2024年度)の実施状況報告では、認証医療機関562施設のデータが集計されています。

NIPTに関する遺伝カウンセリングを受けた75,657人のうち、実際にNIPTを受けた妊婦さんは63,408人でした。初回検査の結果は、次のとおりです。

2024年度に認証医療機関で実施された初回NIPTの結果
検査結果 人数 割合
陽性 707人 1.1%
陰性 62,347人 98.3%
判定保留 354人 0.6%

陽性となった人のうち、確定的検査を受けた人を対象に算出された陽性的中率は、次のとおりです。

2024年度の認証医療機関における陽性的中率
対象となる疾患 陽性的中率
21トリソミー 96.1%
18トリソミー 88.4%
13トリソミー 44.6%

このデータからも、陽性という結果の確からしさは、対象となる疾患によって異なることがわかります。ただし、上記は確定的検査を受けた人を対象とする集計であり、一人ひとりの陽性的中率は年齢などによっても異なります。

また、遺伝カウンセリングを受けた人の全員がNIPTを受けているわけではありません。検査について説明を聞き、自分や家族の考えを整理したうえで、受けないと判断することも選択肢のひとつです。

※参照元:【PDF】出生前検査認証制度等運営委員会「令和6年度(2024年度)実施状況報告」
https://jams-prenatal.jp/file/nipt_report2024.pdf

NIPTの結果とその後の流れ

NIPTでは、対象となる3つの染色体疾患について「陽性」「陰性」「判定保留」のいずれかの結果が示されます。それぞれの結果が何を意味するのか、あらかじめ確認しておきましょう。

陽性だった場合

陽性は、赤ちゃんに対象となる染色体疾患がある可能性が高いことを示します。ただし、NIPTの陽性結果だけでは、病気があると確定したことにはなりません。

検査後の遺伝カウンセリングで結果について説明を受けたうえで、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を受けるかどうかを検討します。

陽性という結果を受け取ると、すぐに結論を出さなければならないと感じるかもしれません。しかし、妊婦さんやご家族だけで判断を急ぐ必要はありません。確定的検査の内容やリスク、今後の選択肢について、医師や遺伝カウンセリングの専門家に相談しましょう。

陰性だった場合

陰性は、赤ちゃんに対象となる染色体疾患がある可能性が低いことを示します。一般的には、陰性という結果を確認するためだけに羊水検査などを行うことはありません。

ただし、陰性であっても可能性が完全にゼロになるわけではなく、NIPTの対象外となる病気や身体的な特徴もあります。通常の妊婦健診や超音波検査は、その後も継続して受けましょう。

判定保留だった場合

判定保留は、採取した血液から十分な情報を得られなかった場合などに、陽性・陰性のどちらとも判定できなかった状態です。赤ちゃんに病気があることを示す結果ではありません。

判定保留となった場合には、妊娠週数や妊婦さんの状態などを踏まえて、遺伝カウンセリングで今後の対応を相談します。主な選択肢には、次のようなものがあります。

  • 改めて採血し、NIPTを再検査する
  • 羊水検査などの確定的検査を検討する
  • 超音波検査など、ほかの検査を検討する
  • 追加の検査を行わず、通常の妊婦健診を継続する

どの対応が適しているかは、妊娠週数や個別の状況によって異なります。判定保留という言葉だけで不安を抱え込まず、検査を受けた医療機関に相談することが大切です。

NIPTの対象となる病気

NIPTの対象となる3つの染色体疾患について紹介します。いずれの疾患も、症状や合併症、成長の経過には個人差があります。

21トリソミー

21トリソミーは「ダウン症候群」とも呼ばれ、通常は2本である21番染色体が3本あることによって生じます。

発達がゆっくりであることや、筋肉の緊張が弱いことなどが特徴として挙げられます。また、心臓や消化器などの疾患を合併することがありますが、症状や必要となる医療・支援は一人ひとり異なります。

18トリソミー

18トリソミーは、通常は2本である18番染色体が3本あることによって生じる染色体疾患です。

胎児期からの成長の遅れや、心臓をはじめとする複数の臓器の疾患、運動や発達の遅れなどが見られることがあります。症状の現れ方や経過には個人差があります。

13トリソミー

13トリソミーは、通常は2本である13番染色体が3本あることによって生じる染色体疾患です。

心臓や脳などの疾患、口唇口蓋裂、目や手足の形態的な特徴、発達の遅れなどが見られることがあります。症状や必要となる医療的な支援は、一人ひとり異なります。

NIPTで陽性となった場合は

NIPTで陽性となった場合も、その時点で赤ちゃんに病気があると確定したわけではありません。まずは遺伝カウンセリングを受け、結果の意味や確定的検査について説明を受けます。

羊水検査や絨毛検査では、赤ちゃんに由来する細胞を調べることで、染色体疾患の有無を確定します。これらの検査ではお腹に針を刺すため、わずかではありますが流産などのリスクを伴います。検査を受けるかどうかは、メリットとリスクの両方について説明を受けたうえで検討することが大切です。

確定的検査で診断された場合にできること

確定的検査によって赤ちゃんの染色体疾患が診断された場合は、疾患の特徴や予想される経過について、医師や遺伝カウンセリングの専門家から説明を受けます。

NIPTの主な意義は、すぐに胎児期の治療を始めることだけにあるのではありません。診断を受けた後、必要に応じて妊娠中の管理方法や出産する医療機関、出生後の検査・治療、利用できる生活支援について事前に検討できることも重要な意味を持ちます。

どのような選択をする場合でも、妊婦さんやご家族だけで悩みを抱える必要はありません。医療機関だけでなく、自治体の相談窓口や当事者・家族を支援する団体などから情報を得ることもできます。

監修
FMF胎児クリニック東京べイ幕張 院長 林 伸彦先生
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院長 林 伸彦先生
           

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。

           
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