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クアトロテストは、お母さんから採血した血液(赤ちゃんに直接針を刺すことはありません)を使って、お腹の赤ちゃんが特定の疾患である「確率」を調べる検査です。
これは「病気かどうかを白黒ハッキリ決める」ための検査(確定的検査)ではありません。あくまでも、「可能性がどのくらいあるか」を調べるための「非確定的検査(スクリーニング検査)」と呼ばれるものです。
クアトロテストでは、お母さんの血液に含まれる4つの成分(AFP、hCG、uE3、Inhibin A)を測定し、お母さんの年齢や妊娠週数などの情報と合わせて、以下の3つの疾患の「確率」を計算します。
【とても大切なポイント】
ここで最も大切にしていただきたいことは、この検査は「確定診断」ではないということです。
結果はあくまで「確率」で示されます。そのため、もし結果が「陽性(確率が高い)」と出たとしても、「陽性=赤ちゃんがその病気である」と決まったわけでは決してありません。この点を、まず一番に理解しておくことがとても重要です。
こうした点から、クアトロテストは「まずはお腹の赤ちゃんへのリスクがない方法で調べたい」「費用を抑えたい」「開放性神経管奇形の確率も知りたい」「確定診断(羊水検査など)に進むかどうかを判断するため、まずは可能性を知るためのワンステップにしたい」といった方に向いている検査と言えるかもしれません。
こうした点から、「より高い精度で染色体疾患の可能性を知りたい」「偽陽性(本当は異常がないのに陽性になる)の可能性をできるだけ低くして、不要な心配を減らしたい」という方には、クアトロテストよりもNIPTのほうが向いているかもしれません。
一般的に、妊娠15週0日〜21週6日頃に受けることができます。(検査が可能な時期は、クリニックによって多少異なる場合があります)
基本的な流れは以下のようになります。
検査結果は、「1/500(500分の1)」や「1/1000(1000分の1)」といった分数(確率)で報告されます。
これは、「同じ検査結果だった妊婦さんが500人(あるいは1000人)いた場合に、そのうち1人がその疾患の赤ちゃんを妊娠している可能性がある」という意味合いです。
そして、あらかじめ設定された「基準値(カットオフ値)」(例えば「1/295」など、疾患や施設によって異なります)よりも算出された確率が高い場合(例:1/100)に、「陽性(スクリーニング陽性)」と判定されます。
(※確率が高い=分母の数字が小さくなる、ということです)
クアトロテストは健康保険が適用されないため、自費診療となります。
費用は施設によって異なりますが、おおよそ2万円〜3万円台が目安です。この費用に、検査前のカウンセリング料が別途必要な場合もありますので、予約時に確認してみましょう。
クアトロテストとよく比較される検査に「NIPT(新型出生前診断)」があります。どちらも採血だけで行える非確定的検査ですが、いくつかの違いがあります。
| NIPT | クアトロテスト | |
|---|---|---|
| 検査を受ける時期 | 妊娠11週以降 ※結果次第で羊水検査を行う場合、17週頃までが推奨 |
妊娠15~21週 ※結果次第で羊水検査を行う場合、17週頃までが推奨 |
| 検査でわかること (非確定) |
21トリソミー 18トリソミー 13トリソミー |
21トリソミー 18トリソミー 開放性神経管奇形(二分脊椎や無脳症) |
| 結果の出方 | 陽性 / 陰性 | 「1/500」などの確率 |
| 疾患がある時に検査陽性となる確率 | 約99% (見落としが少ない) |
約80% (見落としが多い) |
| 検査費用 | 10〜20万円 | 2〜3万円 |
| 注意点 | 精度99%と表現されることが多いが、 検査陽性の時の的中率はもっと低い |
年齢情報を用いるため、高年妊娠では陽性になりやすい |
なお、どちらの検査にも共通する注意点として、これらはあくまでも「可能性」を調べるスクリーニング検査であり、結果が「陽性」でも、それが「確定」にはならないことです。
また、赤ちゃんの生まれつきの病気は、染色体や神経管の異常だけではありません。例えば、心臓病や手足の病気といった「形の異常(形態異常)」は、クアトロテストやNIPTではわかりません。(これらの検査でわかるのは、先天疾患全体の約20%にすぎないとも言われています)
検査結果が「陽性(スクリーニング陽性)」と伝えられたら、誰もが不安で、頭が真っ白になってしまうかもしれません。しかし、一番大切なことは「陽性=赤ちゃんが病気だと決まったわけではない」ということです。
例えば、ダウン症候群で「1/100」という結果が出た場合、それは「100人中99人はダウン症候群ではない」とも言えるのです。
「陽性」という結果が出た場合、本当に赤ちゃんに疾患があるのかどうかをハッキリさせるための「確定的検査」を受けるかどうかを検討することになります。代表的なものが「羊水検査」です。
ただし、羊水検査はお腹に針を刺して羊水を採取するため、わずかではありますが流産や破水のリスクを伴います。リスクを理解した上で、この検査を受けるかどうかを、医師やパートナーと十分に話し合う必要があります。
多くの病院では、出生前診断に関する「遺伝カウンセリング」の体制を整えています。
臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーといった専門家が、検査結果が持つ意味についてより詳しく説明し、あなたが今感じている不安や疑問に耳を傾け、羊水検査を受けるべきかどうかも含めて、今後の選択について一緒に考えてくれます。
決して一人で抱え込まず、パートナーと一緒に、専門家の力を借りることをお勧めします。
この記事では、クアトロテストについて解説してきました。
クアトロテストは、お母さんにも赤ちゃんにも安全な採血だけで、比較的費用を抑えながら、赤ちゃんの特定の疾患の「確率」を知ることができる、出生前診断の一つの選択肢です。
特に、NIPTではわからない「開放性神経管奇形」の可能性も調べられる点は特徴です。
ただし、結果はあくまで「確率」であり、お母さんの年齢の影響を受けやすいことや、NIPTと比べると精度の限界があることも理解しておく必要があります。
出生前診断は、妊娠したら必ず受けなければならない検査ではありません。
検査でわかること・わからないこと、検査のメリット・デメリットを正しく理解した上で、「そもそも検査を受けるか、受けないか」も含めて、ご自身とパートナーが一番納得できる答えを出すことが、何よりも大切です。
この記事が、お二人にとって最善の選択をするための一助となれば、心から幸いです。
生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
FetalHeart(フィータルハート)は、出生前検査や胎児医療に関する正しい情報を、悩むご家族の立場に寄り添って届けるメディアです。皆さんの悩みに寄り添い、選択するお手伝いを少しでもできれば幸いです。