ダウン症はエコー写真でわかる?妊娠週数別の特徴と見方を解説

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妊婦健診でもらったエコー写真を見て、「ダウン症の場合、エコー写真に特徴が出るの?」「ネットで見つけた写真と似ている気がする」と不安になり、このページにたどり着いた方もいるかもしれません。

ダウン症候群(21トリソミー)の赤ちゃんでは、妊娠中の超音波(エコー)検査で、首の後ろのむくみ(NT)や鼻骨、心臓・血流などに特徴的な所見がみられることがあります。しかし、手元にあるエコー写真1枚を見ただけで、ダウン症かどうかを判断することはできません。

このページでは、ダウン症と関連することがある代表的なエコー所見を実際の画像とともに紹介しながら、なぜネット上の写真との見比べでは判断できないのか、医師は実際に何を確認しているのか、気になる所見があったときに何を相談すればよいのかまで解説します。

エコー写真1枚だけでは
ダウン症かどうかは判断できない

まず知っておきたいのは、エコー検査で直接見ているのは赤ちゃんの染色体ではなく、赤ちゃんの体の形、発育、動き、心臓や血管の血流などだということです。

ダウン症は、21番染色体が通常より1本多い「21トリソミー」という染色体の変化によって起こります。エコー検査では染色体そのものを見ることはできません。

一方で、21トリソミーの赤ちゃんでは、NT(首の後ろのむくみ)や鼻骨、心臓の形、血流などに一定の傾向がみられることがあります。こうした特徴は、ダウン症などの染色体疾患の「可能性を考えるための手がかり(マーカー)」として利用されます。

ただし、マーカーがみられた赤ちゃんすべてにダウン症があるわけではありません。反対に、目立ったエコー所見がないからといって、ダウン症ではないと断定することもできません。

※参照元:出生前検査認証制度等運営委員会「超音波マーカー検査・コンバインド検査とは」
https://jams-prenatal.jp/testing/genetic-ultrasound/

【エコー写真で解説】
ダウン症でみられることがある所見

ダウン症との関連が知られているエコー所見にはいくつかあります。ただし、ここで紹介する特徴は「この特徴があればダウン症」という診断基準ではありません。

写真を見るときは、ご自身のエコー写真と形を見比べるのではなく、「医療者はどのような部分を、どのような条件で確認しているのか」を知るための参考としてご覧ください。

NT(首の後ろのむくみ)

NT(Nuchal Translucency)とは、妊娠初期の赤ちゃんの首の後ろに見える液体のたまった部分です。NT自体は病気を意味するものではなく、妊娠初期の赤ちゃんにみられる正常な構造です。

ただし、妊娠11~14週頃にNTが厚い場合には、21トリソミーを含む染色体疾患や心臓などの形態異常がみつかる可能性が高くなることが知られています。

■妊娠13週のNT・鼻骨などの計測例

妊娠13週の胎児のNT、顔面角、鼻骨を計測しているエコー画像

※画像:Wolfgang Moroder / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
妊娠13週の胎児で、NT、顔面角、鼻骨を計測したエコー画像。Fetal Medicine Foundationによって認証された画像です。
引用元:Wikimedia Commons

■NT増大と鼻骨欠如がみられ、21トリソミーが確認された例

NT増大と鼻骨欠如がみられ、絨毛検査で21トリソミーが確認された妊娠11週のエコー画像

※画像:Wolfgang Moroder / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
妊娠11週でNT増大と鼻骨欠如がみられ、その後の絨毛検査で21トリソミーが確認された例です。
引用元:Wikimedia Commons

2枚を並べると違いがあるように見えますが、この見た目をそのまま自分のエコー写真に当てはめることはできません。

NTは、赤ちゃんが横向きになった適切な断面を映し、頭から胸部が大きく見えるように拡大し、首が反りすぎたり曲がりすぎたりしていない状態で計測する必要があります。国際産婦人科超音波学会(ISUOG)のガイドラインでも、NTには標準化された測定方法が定められています。

そのため、健診でもらったエコー写真の首元が「厚そうに見える」という印象だけで、NTが厚いかどうかを判断することはできません。

鼻骨が見えにくい・形成が小さい

妊娠11~14週頃には、赤ちゃんの横顔を適切な角度から確認することで鼻骨を評価できます。21トリソミーなどの染色体疾患では、鼻骨が確認できない「鼻骨欠如」や、鼻骨が小さい「鼻骨低形成」がみられることがあります。

ただし、エコー写真で「鼻が低く見える」「鼻が小さく見える」ことと、「鼻骨欠如・低形成」は同じ意味ではありません。

鼻骨を評価するときは、胎児の顔を正しい断面で映し、皮膚と鼻骨を区別して確認します。写真に写った顔立ちを見て判断するものではないため、2Dエコーや3D・4Dエコーの顔つきだけからダウン症を判断することはできません。

三尖弁逆流や静脈管の血流

妊娠初期の胎児ドックでは、心臓の三尖弁を通る血流や、静脈管と呼ばれる血管の血流も評価することがあります。

21トリソミーなどの染色体疾患では、三尖弁逆流や静脈管血流の異常がみられることがあります。ただし、この評価にはドプラ法を用いて血液が流れる方向や速度を波形として確認する必要があります。

つまり、三尖弁逆流や静脈管血流は、一般的な「エコー写真」1枚を眺めても分かるものではありません。医師は検査中の動画や血流波形を見ながら評価しています。

心臓などの形態に関する所見

ダウン症の赤ちゃんでは、先天性心疾患などを伴うことがあります。そのため胎児ドックでは、心臓の4つの部屋や大きな血管のつながりなども詳しく確認します。

一方、心臓に何らかの所見があったからといって、それだけでダウン症と判断されるわけではありません。

たとえば妊婦健診で指摘されることがあるEIF(心臓内高輝度エコー)は、赤ちゃんの心臓に白い点として映る所見です。ダウン症のソフトマーカーとして扱われることがありますが、健康な赤ちゃんにもみられます。

頭の大きさや手足の長さ

「頭が大きい」「足が短い」といった特徴を検索して、ダウン症との関係を心配する方もいます。胎児の頭の大きさや大腿骨の長さはエコーで計測しますが、これらの数値には体格の個人差や妊娠週数、赤ちゃんの姿勢、測定条件なども影響します。

足が短い、頭が大きいという一つの特徴だけでダウン症を判断することはできません。医師は頭囲、腹囲、大腿骨長、推定体重や、ほかの形態・血流所見などを合わせて評価します。

※参照元:International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology(ISUOG)「Updated ISUOG Practice Guidelines: Performance of 11–14-week ultrasound scan」
https://www.isuog.org/resource/updated-isuog-practice-guidelines-performance-of-11-14-week-ultrasound-scan.html

なぜネットのエコー写真と
自分の写真を比べても分からない?

「ダウン症のエコー写真」を検索すると、多くの画像が見つかります。気になる部分があると、自分の赤ちゃんの写真と何度も見比べたくなるかもしれません。

しかし、エコー画像は一般的な写真とは性質が異なります。同じ赤ちゃんでも、撮影する角度やその瞬間の姿勢によって見え方が大きく変わります。

赤ちゃんの姿勢や撮影角度で見え方が変わる

超音波検査では、赤ちゃんの体を立体的に観察しながら、目的の部位が正しく評価できる断面を探します。

例えばNTを測るときは、胎児を真横から映した特定の断面が必要です。首が反っている場合や曲がっている場合には計測値にも影響するため、どの角度から撮影した写真でも比較できるわけではありません。

また、赤ちゃんは妊娠中に急速に成長します。妊娠11週と13週、20週では、体の大きさだけでなく、確認しやすい臓器や所見も変わります。妊娠週数が違えば、他のエコー画像と同じ基準で比較することもできません。

【妊娠週数別】エコーで
分かること・まだ分からないこと

「ダウン症の特徴は何週から分かるの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。エコーで確認できる内容は、赤ちゃんの成長に合わせて変わります。

妊娠時期 エコーで確認する主な内容 ダウン症との関係
~10週頃 胎児の存在、心拍、発育、妊娠週数など 一般的なエコー写真からダウン症を判断する時期ではない
11~14週頃 NT、鼻骨、心臓の構造、三尖弁や静脈管の血流など 染色体疾患の可能性を評価するための所見を確認できる
18~22週頃 心臓、脳、顔、消化管、腎臓、手足など全身の形態 ダウン症に伴うことがある形態異常やソフトマーカーが見つかることがある
それ以降 赤ちゃんの成長、臓器、羊水量、血流など 成長に伴って新たに分かる所見もあるが、エコーだけで21トリソミーを確定するわけではない

「何週になればダウン症かどうか分かる」という単純なものではありません。時期によってエコーで確認できるポイントが変わるため、何を知りたいのかによって適した検査や時期も変わります。

胎児ドックの時期については、「胎児ドックは妊娠初期と中期、どっちで受けるのがいい?」でも詳しく解説しています。

「これってダウン症?」と
エコー写真を何度も見返している方へ

健診から帰宅した後、医師から言われた一言が気になったり、エコー写真の見え方が気になったりして検索を続けてしまうことがあります。

そのようなときは、写真から答えを探し続けるよりも、「今の時点で何が分かっていて、何がまだ分からないのか」を整理してみましょう。

医師から特に何も指摘されていない場合

エコー写真の顔や首、手足などがネット上の画像と似ているように感じても、それだけを理由にダウン症の可能性が高いと考える必要はありません。

気になることがあれば、次回の健診で「今回のエコーで気になる所見はありましたか」と確認してみましょう。

一つの所見を指摘された場合

NTや鼻骨、大腿骨長、EIFなど、一つの所見を指摘されたとしても、それだけでダウン症が確定するわけではありません。

その所見がどの程度なのか、ほかに気になる所見がないか、経過をみる必要があるのかを医師に確認しましょう。

複数の所見を指摘された場合

複数の所見がある場合には、胎児ドックなどの詳しい超音波検査や、染色体疾患について調べる検査を提案されることがあります。

ただし、検査を受けるかどうかは、検査で分かること・分からないことや結果が出た後の選択肢まで説明を受けたうえで考えることが大切です。

次の診察で確認したいこと

医師に聞きたいこと 確認する目的
具体的にどの所見が気になっていますか? 「少し気になる」という言葉だけでなく、何を指しているのか整理する
その所見は単独ですか? ほかにも関連する所見があるのか確認する
次回は何を確認しますか? 経過観察の目的を理解する
胎児ドックなど詳しいエコーは必要ですか? 専門的な超音波検査が必要か確認する
染色体について調べる場合、どんな検査がありますか? NIPTや確定検査など、それぞれの選択肢を知る

ネットでエコー写真を
調べ続ける前に知ってほしいこと

出生前検査についてインターネットで調べることは、正しい知識を得るきっかけになります。その一方で、情報を知ることによって、かえって不安が強くなる場合もあります。

厚生労働省の出生前検査に関する専門委員会でも、出生前検査について情報提供する際には、検査を受けることを勧めるためではなく、妊娠・出産・子育てに関する妊婦さんや家族の不安や疑問を支えるために行うことが重要だとされています。

また、出生前検査の存在を知ることで、妊婦さんがかえって不安を抱く可能性があることにも注意が必要だとされています。

「ダウン症のエコー写真」を検索している方が本当に知りたいのは、特徴をいくつ覚えるかではなく、「私の赤ちゃんは大丈夫なのか」「今、何をすればいいのか」ということではないでしょうか。

エコー写真は、その答えを1枚で教えてくれるものではありません。写真を見比べて自分で結論を出そうとするよりも、医師からどのような説明を受けたのかを整理し、分からないことを次の診察で確認することが大切だとFetal Heartでは考えています。

※参照元:厚生労働省「出生前検査に関する妊婦等への情報提供」
https://www.mhlw.go.jp/content/000783387.pdf

エコーで気になる所見が
あったときの選択肢

エコーで気になる所見が見つかったときも、すぐに一つの検査を選ばなければならないわけではありません。

現在の妊娠週数やエコー所見、何を知りたいのかによって、考えられる選択肢は異なります。

もう一度エコーで経過を確認する

妊娠週数が早い場合や、赤ちゃんの姿勢によって十分に確認できなかった場合には、日を改めてエコーを行うことがあります。

一度の写真だけで判断せず、時間をおいて成長や所見の変化を確認することも大切です。

胎児ドックで詳しく確認する

胎児ドックでは、通常の妊婦健診よりも赤ちゃんの体の構造や臓器、血流などに注目して詳しく観察します。

初期の胎児ドックでは、NT、鼻骨、心臓、三尖弁や静脈管の血流などを組み合わせて、21・18・13トリソミーなどの可能性を評価することがあります。

NIPTなどの非確定的検査を検討する

NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる胎盤由来のcfDNAを分析し、主に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べる検査です。

NIPTは精度の高い検査ですが、陽性という結果だけでダウン症が確定するわけではありません。陽性となった場合には、絨毛検査や羊水検査などによる確認を検討します。

エコーとNIPTでは見ているものが異なります。詳しくは「胎児ドックとNIPT、受けるならどっちがいいの?」もご覧ください。

絨毛検査・羊水検査などの確定検査を検討する

染色体疾患の有無について診断を確定する検査として、絨毛検査や羊水検査があります。

これらはNIPTのような非確定的検査とは性質が異なり、胎盤の絨毛や羊水中の胎児由来細胞を調べます。一方で、検査に伴う身体的な負担やリスクもあるため、必要性や時期について医師から十分な説明を受けて検討します。

遺伝カウンセリングで相談する

「そもそも検査を受けた方がいいのか分からない」という段階でも、遺伝カウンセリングを利用できます。

検査の種類や結果の意味だけでなく、検査を受けるかどうか、結果が分かった後にどのような選択肢や支援があるのかについても相談できます。

※参照元:出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)」
https://jams-prenatal.jp/testing/nipt/

もしダウン症だと分かったら
検査結果だけでは分からないこともある

出生前検査で21トリソミーが分かった場合でも、その結果だけで、生まれた後の症状の程度や生活のすべてを予測できるわけではありません。

出生前検査認証制度等運営委員会も、染色体を調べる確定検査では病気の有無を確認できる一方、症状や病気の重さまでは分からないと説明しています。

一方で、胎児ドックなどの超音波検査によって心臓をはじめとする体の状態を確認しておくことで、出生する施設を検討したり、生まれた後に必要となる医療の準備につなげたりできる場合があります。

出生前検査は、結果を得ることだけが目的ではありません。検査を受けるかどうかも含め、分かった情報をどのように受け止めるか、家族でどのような準備をしていくかを考えるための時間も大切です。

※参照元:出生前検査認証制度等運営委員会「絨毛検査とは」
https://jams-prenatal.jp/testing/cvs/

まとめ:エコー写真を見比べるより
「何が分かっているか」を確認しよう

ダウン症の赤ちゃんでは、妊娠中のエコーでNT、鼻骨、心臓や血流などに特徴的な所見がみられることがあります。しかし、エコー写真1枚の見た目だけでダウン症かどうかを判断することはできません。

ネット上の写真と似ている部分を見つけても、妊娠週数、赤ちゃんの姿勢、撮影角度などの条件が異なるため、そのまま比較することはできません。医師は1枚の写真だけではなく、赤ちゃんをさまざまな角度から観察し、形態や血流、ほかの所見などを合わせて評価しています。

エコー写真を見て不安になったときは、一人で写真から答えを出そうとせず、「どの所見が気になっているのか」「ほかに気になる部分はあるのか」「次に何を確認するのか」を医師に聞いてみましょう。

出生前検査について考える場合も、検査を急いで選ぶ必要はありません。それぞれの検査で分かること・分からないこと、その後の選択肢について説明を受け、自分たちが納得できる方法を考えていくことが大切です。

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監修
FMF胎児クリニック東京べイ幕張 院長 林 伸彦先生
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院長 林 伸彦先生
           

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。

           
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