赤ちゃんが心室中隔欠損(VSD)と言われたら|自然に閉じる?生まれる前にわかる?

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妊婦健診のエコー検査などで「赤ちゃんのお心臓に穴が空いているかもしれません」と言われると、とても不安になりますよね。心室中隔欠損(VSD)は、赤ちゃんの心臓の病気の中で最もよく見られるものです。

この記事では、心室中隔欠損(VSD)とはどのような状態なのか、生まれる前の検査でどのようにわかるのか、そして自然にふさがる可能性や出生後の見通しについて詳しく解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。実際の経過や治療については、必ず医師にご相談ください。

心室中隔欠損(VSD)とは

心室中隔欠損(VSD:Ventricular Septal Defect)とは、心臓の右心室と左心室を隔てている壁(心室中隔)に、生まれつき穴(欠損孔)が空いている状態を指します。

  • 先天性心疾患で最も多い:生まれつき心臓に何らかの病気がある「先天性心疾患」の赤ちゃんのうち、約2〜3割を占める最も頻度の高い疾患です。決して珍しいものではありません。

穴が空いていることで、左心室から右心室へ血液が流れ込んでしまい、心臓や肺に負担がかかることがあります。しかし、穴の大きさや位置によって症状やその後の経過は大きく異なります。

生まれる前にどうやってわかる?

近年は超音波(エコー)検査の技術が向上し、生まれる前の胎児期に心室中隔欠損が見つかるケースが増えています。

  • 中期の胎児エコー・胎児心エコーでの見え方:妊娠中期(妊娠20週前後)に行われるスクリーニングエコーや、より詳しく心臓を観察する「胎児心エコー検査」によって発見されることが多くなります。エコーの画像上で、右心室と左心室の間の壁に途切れている部分があったり、カラードップラー法という血流を見る機能を使った際に、本来はないはずの壁を通り抜ける血流(左右の心室を行き来する血液の流れ)が確認されたりすることで診断されます。
    ただし、非常に小さな穴の場合は、エコーの解像度や赤ちゃんの向きによっては生まれるまで見つからないこともあります。

自然に閉じることはある?

「心臓に穴が空いている」と聞くと、すぐに手術が必要なのかと心配になりますが、必ずしもそうではありません。

  • 小さい欠損孔は自然閉鎖が多い:実は、開いている穴が小さい(小欠損)場合、赤ちゃんの成長とともに心臓の筋肉が発達して、1歳までに約半数、その後も就学前くらいまでに多くの穴が自然に塞がる(自然閉鎖する)と言われています。
  • 大きさ・位置による違い:自然に閉じるかどうかは、穴の「大きさ」と「位置」に大きく左右されます。周囲を筋肉に囲まれた「筋性部」にある穴は比較的閉じやすく、弁に近い「膜性部」にある穴は小さくても閉じにくい傾向があります。穴が大きい場合は心臓や肺への負担が大きくなるため、自然閉鎖を待たずに治療が必要になることがあります。

出生後の治療と見通し

生まれた後の治療方針は、穴の大きさや赤ちゃんの症状によって決定されます。

  • 経過観察:穴が小さく、体重が順調に増えて心不全の症状(多呼吸、汗をかきやすい、ミルクを飲むのに疲れるなど)がない場合は、定期的にエコー検査や心電図検査を行いながら自然に閉じるのを待ちます。多くの場合は運動などの制限もなく、通常の生活を送ることができます。
  • お薬の治療:穴が中等度以上で、心臓や肺への負担(心不全症状)が見られる場合は、まずは利尿剤などの飲み薬で心臓の負担を和らげ、体重増加を促します。
  • 手術:お薬を使っても症状が改善しない場合や、体重がうまく増えない場合、肺の血管に負担がかかりすぎる(肺高血圧)恐れがある場合は、手術で穴を塞ぐ治療を行います。日本の小児心臓外科手術の成績は非常に良好であり、手術後は他の子どもたちと同じように元気な生活を送れることがほとんどです。

妊娠中にできる準備

お腹の赤ちゃんが心室中隔欠損かもしれないと言われたら、一番大切なのは、出生後に赤ちゃんが安全に適切なケアを受けられる環境を整えておくことです。

分娩施設の選択・小児循環器科との連携

穴が大きく、生まれてすぐに症状が出る可能性がある場合は、小児循環器科や新生児集中治療室(NICU)が併設された、高度な医療機関(総合病院や周産期母子医療センターなど)での出産が推奨されます。妊娠中から産科医と小児循環器科医が連携し、出生直後からの赤ちゃんの状態変化にすぐに対応できる体制を整えておくことで、安心して出産に臨めるでしょう。

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監修
FMF胎児クリニック東京べイ幕張 院長 林 伸彦先生
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院長 林 伸彦先生
           

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。

           
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