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NIPT、クアトロテスト、胎児ドックは、いずれもおなかの赤ちゃんの健康状態を調べる検査ですが、目的やわかること、受ける時期などに違いがあります。
それぞれに特徴があるため、検査を検討するときは、違いをよく知ったうえで、自分たちに合った方法を選ぶことが大切です。
検査方法 | 結果が 出るまで |
わかる病気 | 精度/感度(※) | 結果の 表示方法 |
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妊娠9~10週以降
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血液検査
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1週間前後
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21・18・13トリソミー
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約99%
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陰性
もしくは陽性 |
妊娠15週〜21週
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血液検査
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1週間前後
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21・18トリソミー
+開放性神経管閉塞不全症 |
約80%
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確率
※基準値があり、可能性が高い場合は陽性、 低い場合は陰性という結果も一緒に返ってきます |
妊娠11週~
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エコー検査
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当日
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21・18・13トリソミー
+形態異常(施設による) |
妊娠11~13週
:約80%(評価項目による) 妊娠14週以降 :50%程度 |
確率
トリソミーについては確率、 形態異常については診断になることも |
※感度…21トリソミーのある赤ちゃんに気付ける可能性を表します。
NIPTはNon-Invasive Prenatal genetic Testingの略で、妊婦さんの血液から赤ちゃんの染色体疾患の可能性を調べる検査です。
これにより21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの染色体異常の可能性を評価することができます。
NIPTは、妊娠初期の9~10週から妊娠後期まで受けることができます。実施できる時期は検査会社により異なりますが、9~10週以前は、必要なDNA量が不足しているため検査をすることができません。
妊婦さんから10~20mlの血液を採取するだけです。
NIPTでは、赤ちゃんの情報ではなく「胎盤」の情報をみています。例外はありますが、多くの場合には胎盤と赤ちゃんの情報は一致します。
妊婦さんの血液中に流れ込んでいる胎盤のDNAのかけら(cell-free DNA)の量を解析することでトリソミーの可能性を調べることが可能です。
NIPTを行うことで、13・18・21トリソミーの可能性を見つけることができます。
21番目の染色体が通常より1本多いことで現れる染色体異常症のひとつです。出生児の600〜800人に1人の割合で出生※。
筋緊張が低かったり、知的障害、発達が全体にゆっくりしています。心疾患等を伴うこともあります。
18番染色体が3本存在することで現れる染色体異常症のひとつです。3,500〜8,500人に1人の割合で出生※。
成長障害、身体的特徴、先天性心疾患、肺高血圧、呼吸器系合併症、消化器系合併症などが主な症状です。
13番目の染色体が1本多い、またはもう1本の一部が重複してある状態です。出生児の5,000〜12,000人に1人の割合で出生※。
主な症状は小頭症、頭蓋骨部分欠損、小眼球症、網膜異形成、口唇口蓋裂・高口蓋、耳介形態異常などです。
検査では妊婦さんの腕から血液を採取するだけなので、安全性が高いと言われています。
NIPTはあくまで染色体異常の可能性を示す検査であり、絶対的な診断ではありません。結果が陽性であった場合は、羊水検査や絨毛検査などの確定検査が必要です。
妊婦さんの血液に含まれる4種類の成分(AFP・非抱合型E3・hCG・インヒビンA)を測定するテストです。
これにより21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管欠損症の可能性を評価することができます。
妊娠15週0日から妊娠21週6日まで検査が可能です。ただし陽性の場合は羊水検査を検討するため、妊娠16週頃までの検査が推奨されています。
妊婦さんから10mlほどの血液を採取し、「年齢による一般頻度」をベースに、「4種類の血清マーカー」「人種」「体重」「妊娠週数」「家族歴」「インスリン依存性糖尿病の有無」などさまざまな因子を掛け合わせて可能性を計算します。
21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、開放性神経管欠損症の可能性を評価することができます。13トリソミーは対象外です。また、開放性神経管欠損症はエコー検査で診断します。
妊婦さんの腕から血液を採取するだけなので、比較的リスクが少ないと言われています。ただし、ダウン症候群についての精度は約80%※です。また、母体年齢をベースに確率を計算するため、妊娠時の年齢が高い人ほど結果が高くなる傾向があります。
超音波(エコー)検査によって赤ちゃんの形態をチェックし、染色体異常のサインを調べる検査です。
赤ちゃんの後頚部のむくみの厚さ、鼻骨、静脈管血流、三尖弁血流、心拍数などを計測することで、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーといった染色体異常の可能性を計算します。
トリソミーの可能性を知るためには、妊娠11週〜13週に実施する必要があります。中期(妊娠20週頃)・後期(妊娠30週頃)など発達段階に応じて行うことで異なる項目を評価することができます。
エコー検査では、超音波機器を使って、赤ちゃんの臓器をさまざまな角度から確認します。施設によっては、超音波検査の結果に妊婦さんの血液検査(血液に含まれる2つの成分)を加えるコンバインドテストを実施できます。これによりトリソミーの見逃しを抑えることができます。
胎児ドックでは、染色体異常の可能性や脳・顔・心臓などの形態を評価することができます。代表的な症候群・病気は以下の通りです。
染色体異常 | ダウン症、18トリソミー、13トリソミー |
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脳の異常 | 無頭蓋症(無脳症)、脳瘤、頭蓋骨早期癒合症、Hemimegalencephaly(片側巨脳症)、脳腫瘍など |
顔の異常 | 目の病気(無眼球症・単眼症など)、耳の病気(耳介低位など)、口の病気(口唇口蓋裂など) |
頸部の異常 | NT肥厚、ヒグローマ、奇形腫、血管腫、脂肪腫 |
胸部の異常 | 肺(CHAOS、BPS、CPAM)、横隔膜ヘルニアなど |
心臓/血管の異常 | 子宮内胎児死亡、胎児不整脈、心拡大、心肥大、大動脈縮窄症、ファロー四徴症、大血管転移など |
腹部の異常 | 腹壁破裂、臍帯ヘルニア、腎無形成、馬蹄腎、水腎症など |
脊椎の異常 | Hemivertebra、二分脊椎、脊髄髄膜瘤、髄膜瘤、脂肪腫、奇形腫、側弯 |
四肢の異常 | 欠損、内反、合指、多指、変形、骨折、拘縮 |
そのほか | 外性器の異常、臍帯、羊水、羊膜、胎盤の異常など |
超音波機器を使って診察を行うため、母体や胎児への影響はほとんどありません。母体の腹部脂肪が多い場合や帝王切開などの腹部の手術歴がある場合には、評価が難しい場合があります。
また、妊娠11週~13週の胎児ドックでダウン症候群について評価する場合の感度は約80%(評価項目により異なります)。妊娠13週6日を過ぎると約50%に下がるので注意が必要です。
生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
FetalHeart(フィータルハート)は、出生前検査や胎児医療に関する正しい情報を、悩むご家族の立場に寄り添って届けるメディアです。皆さんの悩みに寄り添い、選択するお手伝いを少しでもできれば幸いです。
林 伸彦先生より
“なぜ知りたいか”
“何を知りたいか”が大切
出生前に赤ちゃんの状態を知る手段は一つではありません。
それぞれの検査には目的と特性があり、どういう情報が欲しいのか、何に備えたいのかによって、選択肢は変わります。
私たちは、“より正確に知ること”が、親が備える力になり、 “より早く知ること”が、赤ちゃんの命を守る可能性を広げると考えています。
どの検査を受けるかよりも、
「自分たちは何を大切にしたいのか」から始まる選択を、安心してできるように。
その思いに、医療として寄り添っていきたいと私たちは考えています。