胎動が少ない・弱いと感じたら?ダウン症との関係や受診・検査の考え方

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「いつもより胎動が少ない気がする」「動いているけれど、以前より弱いように感じる」と、不安になっていませんか。

胎動の変化を感じたとき、ダウン症などの先天性疾患を心配する方もいます。しかし、胎動の少なさや弱さだけで、ダウン症の可能性を判断することはできません。

一方で、胎動が急に減った、今まで感じていた胎動を感じなくなったという場合は、赤ちゃんの状態を確認するため、次の健診を待たずに医療機関へ相談することが大切です。

胎動が少ない・弱いと感じたら、まず医療機関へ相談しましょう

胎動は、赤ちゃんが子宮の中で動いていることを妊婦さんが感じるものです。胎動の感じ方には個人差がありますが、普段と比べて明らかに少ない、弱いと感じた場合は、妊娠週数にかかわらず医療機関へ相談しましょう。

こども家庭庁は、妊娠20週ごろから胎動を感じるようになり、胎動が急に弱くなったと感じる場合は医療機関に相談するよう案内しています。

※参照元:こども家庭庁「妊娠中の検査に関する情報サイト」
(https://prenatal.cfa.go.jp/pregnancy-and-childbirth/)

「いつもより少ない・弱い」という変化が重要

胎動には、すべての妊婦さんに共通する回数や強さの基準があるわけではありません。赤ちゃんの動き方や、胎盤の位置、妊娠週数によって、感じ方は異なります。

そのため、「何回動けば正常か」だけで判断するのではなく、自分が普段感じている胎動と比べて変化があるかを意識することが大切です。

今まで感じていた胎動が急に減った場合は、次の健診を待たない

これまでよく動いていた赤ちゃんの胎動が、急に少なくなったり弱くなったりした場合は、次回の妊婦健診まで待たないようにしましょう。

厚生労働省も、今まで感じていた胎動を感じなくなった場合は、すぐに医師へ相談するよう案内しています。夜間や休日であっても、まずはかかりつけの医療機関へ連絡し、指示を受けてください。

※参照元:厚生労働省「すこやかな妊娠と出産のために」
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken10/)

胎動が少ないことをダウン症のサインと自己判断しない

胎動が少ないと、「赤ちゃんに障害があるのでは」「ダウン症なのでは」と考えてしまうことがあります。しかし、胎動は胎児の活動を感じる現象であり、染色体の状態を調べる検査ではありません。

胎動が少ないことからダウン症の可能性を判断することはできません。心配な場合は、まず胎動の変化について医療機関へ相談し、胎児の現在の状態を確認しましょう。

不安を感じた時点で産婦人科へ相談してよい

「受診して何も問題がなかったら大げさだと思われそう」と考え、相談をためらう方もいます。しかし、胎動の変化を正確に判断することは、妊婦さんだけでは難しいものです。

結果的に問題がなかったとしても、相談したことが無駄になるわけではありません。胎動が少ないと感じたこと自体が、医療機関へ連絡する理由になります。

胎動はいつから、どのように感じるもの?

胎動を感じ始める時期には個人差がある

胎動を感じ始める時期には個人差があります。初めての妊娠では胎動に気づくのが遅く、経産婦では早く気づくこともあります。また、妊娠週数が同じでも、赤ちゃんの位置や胎盤の位置によって感じ方が変わります。

胎動を感じ始める時期が周囲より遅いからといって、すぐに異常があるとは限りません。ただし、一度感じるようになった胎動が明らかに変化した場合は、妊娠週数にかかわらず相談してください。

最初は腸が動くような感覚や小さな動きから始まる

妊娠初期から中期にかけては、胎動を「ポコポコする」「泡がはじける」「腸が動くような感じ」と表現する方もいます。最初は動きが小さく、胎動なのか判断しづらいことがあります。

妊娠が進むにつれて、蹴るような動きや、赤ちゃんが体の向きを変えるような動きを感じることが増えます。胎動の感じ方は一律ではないため、他の人の体験談と比べすぎないようにしましょう。

妊娠週数が進むと胎動の種類が変化する

妊娠後期になると、赤ちゃんが大きくなって子宮内のスペースが限られるため、動き方が変わったように感じることがあります。大きく蹴る動きよりも、押されるような動きや、体をゆっくり動かす感覚が増えることもあります。

ただし、「後期だから胎動が必ず減る」「出産が近いから動かなくなる」とは限りません。動き方が変わっても、普段と比べて明らかに少ない場合は、自己判断せず医療機関へ連絡しましょう。

胎児の睡眠や妊婦の活動によって感じ方が変わることがある

赤ちゃんにも眠っている時間があり、その間は胎動を感じにくいことがあります。また、妊婦さんが歩いたり仕事をしたりしていると、動きに気づきにくい場合もあります。

静かな場所で横になったときに胎動を感じることもありますが、確認に時間をかけすぎる必要はありません。急に胎動が減ったと感じた場合は、赤ちゃんが寝ているだけと決めつけず、医療機関へ相談してください。

胎盤の位置や胎児の向きによって感じにくい場合もある

胎盤が子宮の前側にある場合や、赤ちゃんの背中が前を向いている場合などは、胎動が外側に伝わりにくく、動きを感じにくいことがあります。

胎盤の位置や赤ちゃんの向きは、妊婦健診の超音波検査で確認されることがあります。ただし、感じにくい理由が考えられる場合でも、胎動が急に変化したときは受診を優先しましょう。

胎動が少ない・弱いと感じる主な理由

赤ちゃんが眠っている時間帯と重なっている

胎児には活動する時間と眠っている時間があり、一定の時間だけ胎動が少なくなることがあります。妊婦さんが横になったタイミングと、赤ちゃんの睡眠時間が重なることもあります。

一時的に感じにくいだけの場合もありますが、胎動がいつ戻るかを長時間待ち続けるのは避けましょう。普段との違いが続くと感じたら、産婦人科へ連絡して指示を受けてください。

妊婦が仕事や家事をしていて気づきにくい

歩いているときや仕事に集中しているときは、赤ちゃんが動いていても気づきにくいことがあります。横になって落ち着いたときに、胎動を感じるケースもあります。

しかし、「気づかなかっただけかもしれない」と思い込むと、胎動の変化を見逃す可能性があります。普段と違うと感じた場合は、気づきにくかった理由を考え続けるより、医療機関に相談しましょう。

胎児の向きや胎盤の位置で感じ方が変わる

胎児の向きや胎盤の位置によって、胎動が伝わる方向や強さは変わります。赤ちゃんの手足が背中側を向いていると、動いていても弱く感じることがあります。

こうした理由があるかどうかは、自宅では判断できません。健診で胎児の位置や胎盤の状態を確認していても、胎動が急に少なくなった場合は、改めて医療機関へ相談してください。

妊娠後期に動き方が変わったように感じる

妊娠後期は、赤ちゃんの動きが「蹴る」ものから「押す」「伸びる」ようなものへ変化し、胎動の印象が変わることがあります。そのため、以前より弱くなったと感じる方もいます。

それでも、動きの種類が変わったことと、胎動の回数や頻度が明らかに減ることは別です。胎動が全体として減っていると感じる場合は、週数だけを理由に様子を見ないようにしましょう。

胎動の減少が胎児の状態と関係する場合もある

胎動が少ない・弱い原因が、赤ちゃんの睡眠や体勢であることもあります。一方で、胎盤の機能や羊水量、胎児の発育などを確認する必要がある場合もあります。

自宅で胎動の原因を見分けることはできません。胎動が減ったと感じたら、ダウン症かどうかを考える前に、現在の胎児の状態を医療機関で確認することが優先です。

胎動が少ない・弱いときの受診目安

いつもより明らかに胎動が少ない

胎動の回数には個人差がありますが、普段よく動く時間帯に動きを感じない、全体として明らかに少ないと感じる場合は、医療機関に相談してください。

「何回以下なら受診」という基準を自分で設定するよりも、普段との違いを伝えることが重要です。最後に胎動を感じた時間や、いつから変化したかをメモしておくと説明しやすくなります。

胎動が弱く、時間が経っても戻らない

胎動が弱く感じるとき、しばらく横になって様子を見る方もいます。しかし、時間が経っても普段の強さに戻らない場合は、赤ちゃんの状態を確認する必要があります。

胎動が弱いまま何時間も待ち続けるのではなく、かかりつけの産婦人科へ連絡しましょう。受診するかどうかは、医療機関の指示に従ってください。

決まった時間帯に胎動を感じなくなった

赤ちゃんにはそれぞれ活動しやすい時間帯があり、「夜によく動く」「食後に動く」など、いつものパターンがわかってくることがあります。

その時間帯に胎動がなく、普段と違うと感じる場合は、赤ちゃんが寝ているだけと決めつけないことが大切です。胎動の変化として、医療機関に相談しましょう。

今まで感じていた胎動がまったくない

これまで胎動を感じていたにもかかわらず、まったく感じなくなった場合は、すぐに医療機関へ連絡してください。厚生労働省も、今まであった胎動を感じなくなった場合は、すぐに医師へ相談するよう案内しています。

自宅で長時間胎動を待ったり、インターネットで原因を調べ続けたりせず、妊娠週数と最後に胎動を感じた時間を伝えて指示を受けましょう。

出血・腹痛・破水感・強い張りを伴っている

胎動の減少に加えて、性器出血、強い腹痛、規則的なお腹の張り、破水したような感覚などがある場合は、早急な対応が必要になることがあります。

症状の組み合わせや妊娠週数によって対応は異なります。自分で判断せず、すぐに医療機関へ連絡し、受診方法を確認してください。

胎動の変化に加えて、母体の体調も悪い

強い頭痛、目がチカチカする、息苦しさ、発熱、めまい、強い腹痛などがある場合は、胎動の変化だけでなく、妊婦さん自身の体調についても確認が必要です。

妊娠中は、母体の病気が胎児の発育や健康に影響する場合があります。胎動の減少と体調不良が同時にある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

胎動が少ないとき、自宅で確認してよいこと・避けたいこと

静かな場所で横になり、赤ちゃんの動きを意識する

家事や仕事を止めて静かな場所で横になると、普段は気づかなかった小さな胎動を感じることがあります。胎動の状態を落ち着いて確認するために、短時間休むことは一つの方法です。

ただし、横になっても胎動が戻らない、明らかに弱い状態が続く場合は、自己確認を続けず医療機関へ連絡してください。横になって確認することは、受診を遅らせるための方法ではありません。

胎動カウントは普段の変化を把握するために使う

胎動カウントは、一定の時間に胎動を数えることで、普段の胎動の傾向を把握する方法です。自分の赤ちゃんがどの時間帯によく動くのかを知る手がかりになります。

ただし、胎動カウントは自宅で胎児の安全を確定する検査ではありません。医療機関から方法を指示されている場合は、その指示に従い、異変を感じたときはカウントより相談を優先しましょう。

胎動カウントに時間をかけすぎて受診を遅らせない

胎動が少ないと感じたとき、「あと何回動くか」「何時間で戻るか」を気にして、長時間待ってしまうことがあります。しかし、胎動の減少が続く場合は、時間を測り続けるより医療機関に相談することが大切です。

胎動カウントは受診の代わりにはなりません。特に、今まであった胎動を感じない場合や急に弱くなった場合は、すぐにかかりつけの産婦人科へ連絡してください。

冷たい飲み物や甘いものを無理に試さない

胎動を感じるために、冷たい飲み物や甘いものを試すよう勧められることがあります。しかし、これらを試せば必ず胎動が戻るとは限らず、医学的に赤ちゃんの安全を確認できる方法でもありません。

食事制限や妊娠糖尿病などで控えているものがある場合は、無理に試さないでください。胎動の変化が気になる場合は、飲食物で様子を見るより、医療機関へ相談しましょう。

家庭用ドップラーだけで赤ちゃんの安全を判断しない

家庭用ドップラーで心音が聞こえたとしても、赤ちゃんの状態がすべて問題ないと判断できるわけではありません。心拍を聞くことと、胎児の発育や胎盤、羊水などを確認することは別です。

機器の使い方によっては、母体の脈拍を胎児の心拍と誤認する可能性もあります。胎動が少ない・弱いと感じた場合は、家庭用機器で確認するのではなく、医療機関へ連絡してください。

胎動が少ない・弱いとき、病院では何を確認する?

胎児心拍数陣痛図(NST)で赤ちゃんの心拍を確認する

医療機関では、胎児心拍数陣痛図(NST)などを用いて、赤ちゃんの心拍や子宮収縮の状態を確認することがあります。妊娠週数や症状に応じて、必要な検査が選ばれます。

検査の結果、赤ちゃんの状態に問題がないことが確認される場合もあります。受診して問題がなかったとしても、胎動の変化を相談したことは適切な行動です。

超音波検査で発育や羊水量、胎盤などを確認する

超音波検査では、赤ちゃんの大きさや発育、羊水量、胎盤の状態、胎児の動きなどを確認することがあります。

胎動が少ない原因は、妊婦さんが感じにくいだけの場合もありますが、自宅ではその判断ができません。胎動の変化を感じたら、検査によって赤ちゃんの状態を確認してもらいましょう。

必要に応じて血流や胎児の状態を詳しく調べる

妊娠週数や健診結果によっては、胎児や胎盤の血流などを詳しく調べることがあります。どの検査を行うかは、胎動の変化だけでなく、発育や母体の状態を含めて医師が判断します。

検査内容は医療機関によって異なるため、すべての人が同じ検査を受けるわけではありません。不安な場合は、「何を確認するための検査ですか」と質問してみましょう。

検査で問題がなければ、胎動の感じ方を確認しながら経過を見る

検査で赤ちゃんの状態に問題がないと確認された場合は、胎動の感じ方や普段のパターンを確認しながら経過を見ることがあります。

一度受診して問題がなかったとしても、その後に再び胎動が少ない、弱い、感じないといった変化があれば、改めて相談してください。前回の検査結果だけで、その後の状態まで保証されるわけではありません。

胎児機能不全や胎児発育不全が疑われる場合の対応

胎動の減少がある場合、胎児機能不全や胎児発育不全などを含め、赤ちゃんの状態を確認することがあります。ただし、胎動が少ないからといって、これらの状態が確定するわけではありません。

医師は検査結果や妊娠週数、母体の状態を総合して対応を判断します。診断名を自分で調べて不安を深めるのではなく、現在どのような状態で、何を確認する必要があるのかを説明してもらいましょう。

胎動が少ないこととダウン症に関係はある?

胎動の少なさだけでダウン症は判断できない

ダウン症は、21番染色体の数に関係する染色体の状態です。胎動の回数や強さは、胎児の活動を妊婦さんが感じているものであり、染色体の状態を直接示すものではありません。

そのため、胎動が少ない・弱いという症状だけで、ダウン症の可能性を判断することはできません。ただし、胎動の減少は別の理由で医療機関へ相談すべき症状です。

胎動は染色体を調べる検査ではない

胎動があるか、どの程度強いかという情報は、赤ちゃんが動いていることを知るための手がかりです。しかし、胎児の染色体や遺伝子の状態を調べる検査ではありません。

ダウン症などの染色体異常について確認したい場合は、妊婦健診の結果や超音波所見を医師に確認し、必要に応じて出生前検査について相談します。

ダウン症の可能性は胎動ではなく、検査や複数の医学的所見から考える

ダウン症を含む染色体異常の可能性を考えるときは、妊婦さんの年齢、妊娠経過、超音波検査の所見、出生前検査の結果など、複数の情報を組み合わせます。

ただし、超音波検査やNIPTなどの非確定的検査で、染色体異常の可能性が高いと判断されても、診断が確定するわけではありません。検査の意味を理解したうえで判断する必要があります。

胎動が少ないからといって、ダウン症の可能性が高いとはいえない

胎動の少なさとダウン症の可能性を直接結びつける医学的な判断はできません。胎動が少ないと感じたときに優先すべきなのは、ダウン症の検査を急ぐことではなく、現在の赤ちゃんの状態を確認することです。

胎動の相談と出生前検査の相談は、別々に考えましょう。胎動について受診した際に、胎児の異常が心配であることを医師へ伝えることはできます。

胎動が正常でも、すべての胎児の病気を否定できるわけではない

胎動を感じているからといって、胎児のすべての病気や染色体異常が否定されるわけではありません。胎動は、赤ちゃんの状態を知る一つの手がかりです。

胎児の発育や形態、染色体について心配がある場合は、それぞれに適した検査や相談が必要です。胎動の有無だけで、安心しすぎたり不安になりすぎたりしないようにしましょう。

胎動の変化をきっかけに出生前検査を考える場合

胎動の減少を理由に、自己判断でNIPTを急いで受けない

胎動が少ないと、すぐにNIPTを受けて原因を知りたいと考える方もいます。しかし、NIPTは胎動の減少の原因を調べる検査ではありません。

まずは医療機関で胎児の心拍や発育などを確認し、そのうえで染色体異常について相談しましょう。胎動の減少がある場合は、出生前検査の申込みより、医療機関への連絡が優先です。

NIPTは特定の染色体異常の可能性を調べる検査

NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を調べ、特定の染色体異常の可能性を確認する検査です。

日本の出生前検査認証制度におけるNIPTの対象は、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーです。NIPTで、胎動の少なさやすべての先天性疾患の原因がわかるわけではありません。

※参照元:【PDF】厚生労働省資料「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」
(https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000901425.pdf)

NIPTは確定診断ではない

NIPTは、染色体異常の可能性を調べる非確定的検査です。陽性という結果が出ても、その時点で胎児の染色体異常が確定したわけではありません。

また、陰性であっても、検査の対象となっていない染色体異常や先天性疾患を否定できるわけではありません。検査を受ける前に、結果の意味と限界について説明を受けましょう。

陽性の場合は羊水検査などの確定的検査を検討する

NIPTで陽性となった場合は、結果を確定するために羊水検査などの確定的検査を検討します。陽性結果だけで、妊娠の今後について結論を出すものではありません。

確定検査の時期や方法、身体的な負担、結果が出るまでの期間などは、検査前に説明を受けます。検査結果を受け取った後に相談できる体制があるかも確認しておきましょう。

検査前後の遺伝カウンセリングを受ける

遺伝カウンセリングでは、検査の目的、対象となる疾患、検査の精度、結果の受け止め方、陽性の場合の次の検査などについて説明を受けます。

日本産科婦人科学会は、出生前検査の前後に妊婦と原則そのパートナーが遺伝カウンセリングを受ける必要があるとしています。検査を受けるかどうかを、夫婦だけで抱え込む必要はありません。

※参照元:【PDF】日本産科婦人科学会資料「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」
(https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf)

胎動の確認と、染色体検査の相談は分けて考える

胎動の減少は、赤ちゃんの現在の状態を確認するための相談です。一方、出生前検査は、染色体異常などの可能性を調べるための検査です。

どちらも大切な相談ですが、目的が異なります。胎動が少ない場合はまず受診し、その後に必要であれば、染色体検査について遺伝カウンセリングを受けるという順序で考えましょう。

胎動の不安を医師に伝えるときのポイント

いつから少ない・弱いと感じたか

胎動の変化に気づいた日時をメモしておきましょう。「今日の朝から」「昨夜から」など、正確な時刻がわからなくても構いません。

医療機関に連絡するときは、妊娠週数とあわせて、いつから胎動が変化したと感じているかを伝えます。最後に胎動を感じた時間も、わかる範囲で伝えましょう。

普段と比べてどの程度変化したか

「普段は夜に強く動くが、今日はほとんど感じない」「動いているが、いつもより弱い」など、普段との違いを具体的に伝えます。

回数を正確に数えていなくても問題ありません。胎動の強さや時間帯、動き方の変化について感じたことを、そのまま伝えてください。

最後に胎動を感じたのはいつか

最後に胎動を感じた時間は、医療機関が受診の必要性や緊急度を判断する材料になります。はっきり覚えていない場合でも、「昨日の夜が最後かもしれない」など、わかる範囲で伝えましょう。

相談前に胎動を感じたとしても、普段より少ない・弱い状態が続いているなら、その変化も伝えてください。一度動いたから必ず問題がないとは限りません。

出血・腹痛・張り・破水感があるか

胎動の変化に加えて、出血、腹痛、お腹の張り、破水したような感覚があるかを確認します。これらの症状がある場合は、胎動の減少とあわせて医療機関へ伝えてください。

妊娠週数によって必要な対応は異なります。症状が強い場合や複数ある場合は、電話相談だけで様子を見ず、医療機関の指示に従いましょう。

妊娠週数やこれまでの健診結果

医療機関に連絡するときは、妊娠週数、予定日、これまでの健診で指摘されたことがあるかを伝えます。母子手帳や診察券を手元に置いて電話するとスムーズです。

胎児の発育や羊水量、胎盤について指摘を受けている場合は、その内容も伝えましょう。過去の健診結果と今回の胎動変化を合わせて判断してもらいます。

ダウン症などの胎児の異常が心配であること

胎動の相談で受診した場合でも、「ダウン症などの異常が心配です」と伝えて構いません。医師に不安を話すことで、胎動の確認と出生前検査の相談を分けて整理できます。

まずは現在の胎児の状態を確認し、その後に必要であれば出生前検査について説明を受けます。不安を隠さず話すことは、適切な情報を得るための大切な一歩です。

胎動が少ない・弱いと感じたときのよくある質問

胎動が少ないとき、どのくらい待てばよい?

胎動が少ないと感じたときに、何時間待てばよいかという一律の基準はありません。妊娠週数や普段の胎動、母体の状態によって、必要な対応は異なります。

特に、急に胎動が減った、弱くなった、まったく感じないという場合は、時間を測り続けず、かかりつけの医療機関へ連絡してください。

妊娠後期は胎動が弱くなるのが普通?

妊娠後期は、赤ちゃんの動き方が変わるため、胎動の印象が変化することがあります。しかし、「妊娠後期だから胎動が減るのは普通」と一律に考えることはできません。

動きの種類が変わっても、普段と比べて明らかに少ない、弱いと感じる場合は相談が必要です。妊娠週数を理由に受診を先延ばしにしないようにしましょう。

胎動が一度戻れば受診しなくてもよい?

一度胎動を感じても、それまでに明らかな減少や弱まりがあった場合は、医療機関へ相談することをおすすめします。胎動が戻ったことだけで、すべて問題がないとは判断できません。

医療機関では、胎動の経過や検査結果を踏まえて受診の必要性を判断します。不安が続く場合は、胎動が戻ったことも含めて相談してください。

胎動が少ないのに病院へ行って何もなかったら恥ずかしい?

胎動の変化を感じて受診し、赤ちゃんに問題がないと確認されることはあります。しかし、それは受診する必要がなかったという意味ではありません。

胎動の変化を妊婦さんだけで正確に判断することは難しいため、医療機関で確認することが大切です。何もなかったと確認できることも、受診によって得られる大切な結果です。

胎動が少ないことを理由にNIPTを受けられる?

NIPTは胎動の少なさを調べる検査ではありません。胎動が少ない場合は、まず胎児の心拍や発育などを医療機関で確認します。

そのうえで、ダウン症などの染色体異常について検査を受けたい場合は、検査の目的や限界について遺伝カウンセリングを受け、受検するかどうかを考えます。

胎動が少ない場合、ダウン症の可能性が高い?

胎動の少なさだけで、ダウン症の可能性が高いとは判断できません。胎動は染色体異常を調べる指標ではなく、胎動の感じ方には赤ちゃんの向きや胎盤の位置なども影響します。

ただし、胎動の減少はダウン症とは別に、赤ちゃんの状態を確認する必要がある症状です。ダウン症の心配と胎動の相談を分けて、まず医療機関へ連絡しましょう。

まとめ|胎動が少ない・弱いと感じたら、ダウン症の心配より先に相談しましょう

胎動が少ない、弱いと感じたとき、ダウン症などの胎児の異常を心配するのは自然なことです。しかし、胎動の回数や強さだけで、ダウン症や染色体異常を判断することはできません。

一方で、急に胎動が減った、弱くなった、今まで感じていた胎動を感じなくなった場合は、赤ちゃんの状態を確認する必要があります。自宅で長時間様子を見たり、インターネットで原因を調べ続けたりせず、かかりつけの産婦人科へ連絡してください。

胎動の確認と出生前検査は、目的が異なります。まずは現在の赤ちゃんの状態を医療機関で確認し、ダウン症などの染色体異常について不安が残る場合は、遺伝カウンセリングを受けたうえで出生前検査を検討しましょう。

※参照元:こども家庭庁「妊娠中の検査に関する情報サイト」
(https://prenatal.cfa.go.jp/pregnancy-and-childbirth/)
※参照元:【PDF】日本産科婦人科学会資料「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」
(https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf)

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監修
FMF胎児クリニック東京べイ幕張 院長 林 伸彦先生
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院長 林 伸彦先生
           

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。

           
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