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「もし、出生前検査の結果が陽性だったらどうしよう……」
NIPT(新型出生前診断)や初期胎児ドックを受け、結果を待つ数週間。お腹の赤ちゃんのことを想うからこそ、押し寄せる不安で夜も眠れない日々を過ごしている妊婦さんは少なくありません。
重いテーマゆえに、パートナーに「もしもの時はどうする?」と切り出しても、「まだ結果が出てないんだから、今から悪い方に考えなくてもいいじゃない」と受け流されてしまい、2人の温度差に一人で孤独や不安を深めてしまうケースもよく見られます。
しかし、出生前検査を受ける上で最も大切なのは、実は「結果が出る前の過ごし方とパートナーとの対話」です。
この記事では、結果を待つ時間の中で、パニックにならずにお互いの価値観をすり合わせるための「2人の話し合いのポイント」と「具体的な心構え」を優しく解説します。
なぜ、まだ結果が分からない段階から「もしもの話」をしておく必要があるのでしょうか。それには、医療の現場だからこそ直面する2つの現実があるからです。
万が一、検査結果で「陽性の可能性」を告げられたとき、どれほど心の準備をしていても、頭が真っ白になり激しいショックを受けるものです。
しかし、出生前検査には「妊娠週数」というタイムリミットが厳然として存在します。結果を知って動転した状態のまま、「次にどんな検査を受けるか」「これからどうするか」という将来を左右する重大な決断を数日〜数週間のうちに迫られることになるのです。
あらかじめ「もしそうなったら、まずはこう動こう」という仮のロードマップ(心構え)を2人であらかじめ共有しておくことは、いざというときに足元を支える最大のお守りになります。
つわりを経験し、日々お腹の変化を感じながら必精一杯情報収集をしている妊婦さんと、まだ見ぬ我が子の状況がイメージしづらいパートナーとの間には、どうしても当事者意識のズレ(温度差)が生じがちです。
パートナーが「結果が出てから考えればいい」と言うのは、決して不誠実だからでも、赤ちゃんに関心がないからでもありません。相手の側からすると「実感が湧きにくい」という認知のズレからくる、防衛本能に近い言葉であることも多いのです。
だからこそ、結果という「現実」を突きつけられる前に、お互いの歩調を合わせ、すれ違いを解消しておく時間が必要になります。
具体的な話し合いといっても、何から話せばいいか迷ってしまいますよね。まずは、以下の3つのポイントについて、お互いの考えを「共有」することから始めてみましょう。
まず知っておきたいのは、NIPTや胎児ドック(エコー検査)は、あくまで赤ちゃんの染色体異常などの「確率」を調べる「非確定検査(スクリーニング検査)」であるという点です。ここで陽性やスクリーニング陽性と出ても、病気が確定したわけではありません。
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もし陽性の可能性が指摘された場合、より確実に調べるための「確定検査(絨毛検査や羊水検査)」に進む意志が双方にあるかどうか。これを事前に確認しておくことが、実務的に極めて重要です。「白黒はっきりさせて心の準備をしたい」のか、「お腹に針を刺すリスク(流産リスクなど)があるなら避けたい」のか、お互いのスタンスを握っておきましょう。
非常に重く、目を背けたくなるテーマですが、避けては通れないポイントです。
「もし疾患があると確定した場合、どのような選択肢があるのか」
ここで大切なのは、今すぐひとつの「結論」を出すことではありません。「私は今、経済的な面や上の子の育児のことでこれくらい不安に思っている」「自分はこういう覚悟や心配がある」といった、現時点の率直な立ち位置をお互いに知ることが目的です。
検査を受けること、そしてその結果を、実の親やパートナーの親に伝えるべきかどうか。これは、後々の親族関係における大きな不和の種になりやすいポイントです。
「結果がどうであれ、2人だけの問題として秘密にしておくのか」
「確定診断が出た段階で相談するのか」
親世代とは出生前検査に対する価値観が異なることも多いため、あらかじめ「どこまでの情報を、どのタイミングで、誰に共有するか」のラインを2人の間で一致させておくことが、余計なトラブルからお互いを守る盾になります。
命に関わる重いテーマだからこそ、話し合いが非難の応酬になってしまっては本末転倒です。お互いを傷つけずに、建設的な対話をするためのコツを2つご紹介します。
「あなたはどうするつもり?」と相手の意見を問い詰めるような言い方をしてしまうと、パートナーは責められていると感じて身構えてしまいます。
対話の際は、「私は結果を待つのがすごく怖くて不安だから、私たちのこれからのために、一緒に考えてほしい」というように、主語を「私」や「私たち」にしてみましょう。
相手を論破することではなく、お互いが抱えている「何が一番怖いのか(経済、体への負担、世間体など)」を言語化し、共有することがゴールです。
このような人生の重大な決断を、一晩の話し合いで完璧に決めるのは不可能です。一度にすべてを決めようとすると、精神的なキャパシティを超えて衝突しやすくなります。
「今日は次の確定検査に進むかどうかまで話そう。続きはまた週末にね」と区切りをつけ、数日間、お互いに一人で静かに考える時間(グラウンディングの期間)を設けましょう。時間をかけて何度も言葉を交わすプロセスそのものが、2人の絆を深め、価値観を擦り合わせていく糧になります。
どれだけ話し合っても、どうしても意見が平行線になってしまったり、不安が大きすぎて言葉にならなかったりすることもあります。それは、あなたたちが未熟だからではなく、それほどまでにこの問題が重く、正解のない問いだからです。
そんなときは、2人だけで抱え込まず、専門家の力を借りてください。
医療機関には、出生前検査に関する正確な医学的情報の提供だけでなく、2人が自分たちらしい選択をできるよう心理的なサポートを行う「認定遺伝カウンセラー」という専門職がいます。
遺伝カウンセラーは、どちらかの意見に偏ることなく、中立な立場で2人の本音を引き出し、整理する手助けをしてくれます。第三者が入ることで、驚くほど冷静に話し合えるようになるケースは非常に多いのです。
認定遺伝カウンセラーについて詳しく知る
・出生前検査やNIPTで迷ったら?命と向き合うパートナーを支える「認定遺伝カウンセラー」とは
出生前検査の結果を待つ時間は、恐怖や不安に押しつぶされそうな、本当につらい時間かもしれません。
しかし見方を変えれば、この期間は「これから生まれてくる命とどう向き合うか」を、2人がこれまでにないほど深く話し合い、本当の意味で『親になるためのチーム』を作っていく貴重な期間でもあります。
一人で抱え込まず、あなたの心にある「怖い」という本音を、まずはパートナーにそっと打ち明けることから始めてみてくださいね。
結果を待つ日々の心のケアに
・出生前検査が不安なあなたへ。誰にも言えないモヤモヤに寄り添う心のケアガイド
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生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
FetalHeart(フィータルハート)は、出生前検査や胎児医療に関する正しい情報を、悩むご家族の立場に寄り添って届けるメディアです。皆さんの悩みに寄り添い、選択するお手伝いを少しでもできれば幸いです。