胎児ドックで何か見つかったときは

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もくじ

胎児ドックで異常が見つかったら
どうすればいい?

胎児ドックで「気になる所見」や「異常の可能性」が指摘されたとしても、すぐに病気だと決まるわけではありません
胎児ドックでわかることの一部は非確定検査であり、あくまで「サインを見つける」ための検査です。

例えば、胎児の首のむくみがあると「ダウン症の可能性が高い」と言われることがありますが、「あくまでもむくみがない人と比べると高くなる」という意味で、多くの場合はダウン症ではありません。一方、胎児ドックで「手がない」など形態的なことがわかったとき、それ自体は確実な検査であり追加検査なく診断に至るものもあります。

まずは、どの場所に、どのような異常が見つかったのか、担当医から丁寧な説明を受けることが大切です。
その上で、必要に応じてより詳しく調べるための確定検査(羊水検査や絨毛検査、胎児MRIなど)を検討することになります。家族の考えによって、どこまでの検査を受けるのかは変わりますので、なにか気になることがあれば次々と検査を受けなければならないものではありません。

検査を受けるかどうかは、ご家族の気持ちを大切にしながら、医療者と一緒に考えていきましょう。
また、診断が確定した場合でも、それは「終わり」ではなく、“これからどう備えるか”を一緒に考えていくためのスタートです。
出産までの時間をどう過ごすか、どんなサポートがあるか、一緒に考えていくことができます。

見た目に異常が見つかった/
または疑いがある場合

胎児ドックで、赤ちゃんの体のかたちや臓器の構造に気になる所見(形態異常の疑い)が見つかった場合でも、すぐに病気と確定するわけではありません。 このようなときは、

  • 専門の医師による精査が必要なケース
  • 赤ちゃんの成長を待って再評価するケース
  • 背景にあるかもしれない関連疾患/症候群を検索するケース

など、状況に応じた対応が必要となります。

「形の異常=すぐに羊水検査」とは限りません。
形態異常が見つかったことをきっかけに、染色体異常(例:トリソミー)や遺伝子異常が疑われる場合もあり、その際には絨毛検査や羊水検査などの確定検査を検討することがあります。

ただし一方で、見つかった形態異常が染色体や遺伝子の異常とは関連しないケースも少なくありません。
たとえば、一部の軽微な奇形や孤立性の所見では、染色体異常の可能性が低いと判断され、必ずしも確定検査が必要とされないこともあります。
大切なのは、

  • 見つかった所見がどういう意味を持つのか
  • それに対して何ができるのか・必要なのか

医療者と丁寧に共有しながら判断していくことです。

胎児ドックで見つかることの多い
「気になる所見」の例

むくみ(NT肥厚)

胎児の首の後ろに見られる「むくみ」(NT=nuchal translucency)は、染色体異常や心疾患、感染症、リンパ系の異常などのサインとなることがあります。ただし、この所見は必ずしも病気を意味するわけではありません。
評価の正確さには、妊娠週数(11週0日〜13週6日)、胎児の向きや体勢、卵膜の見え方などの条件が整っている必要があります。NTが厚い場合でも、ほかに異常所見がない場合は、正常に経過して大きな問題なく健康に生まれることが多いようです。
他の所見(鼻骨の有無、三尖弁逆流、静脈管の血流など)とあわせて総合的に評価し、必要に応じてコンバインドテスト、NIPT、あるいは絨毛/羊水検査や経過観察を検討します。

心臓病(構造異常)

胎児心臓病は詳細な胎児ドックを行っている医療機関では、妊娠12週ごろから気付くようになります。
「心臓病」と聞くと驚くかもしれませんが、生まれつきの病気の中で一番多いのが心臓病です。たとえば、単独の心室中隔欠損(VSD)などは、成長とともに閉じたり、遺伝的背景のないこともあるため、心臓病があると言われても、パニックになる必要はありません。

ただし、一部の心臓病は胎児期〜出生後にかけて手術が必要になったり、染色体異常や遺伝子異常と関連したりすることがあるため、見つかった場合には更なる検査を検討することになります。
すべての心疾患が染色体異常と関係するわけではありません。心臓病のタイプ、他の構造異常の有無、羊水量や胎児発育の状況を含めて慎重に評価し、必要であれば胎児心エコー専門医による詳細スクリーニングや、遺伝カウンセリングを行ったうえで、確定検査を行うかどうかを判断します。

鼻骨低形成(鼻骨が小さい)

胎児の鼻骨が小さい、あるいは見えにくいという所見は、ダウン症などの染色体異常と関連することがあります。
ただし、鼻骨の評価には週数や機器の分解能、胎児の体勢の影響も大きく、単独での判断は慎重を要します。鼻骨低形成だけで他の異常所見がなければ、過剰な不安を与えないよう注意が必要です。他の所見(NT、心臓、三尖弁など)と組み合わせて評価し、必要に応じて追加の超音波観察、NIPT、または確定検査を検討します。

三尖弁逆流

三尖弁逆流(tricuspid regurgitation)は、心臓の右心房から右心室への血流に逆流が見られる所見で、特に妊娠11〜14週の時期に見られると染色体異常のサインとなることがあります。ただし、逆流の程度や持続時間によっては一過性の生理的な変化の範囲内であることも少なくありません。妊娠初期の弁逆流は病気ではなく、「未熟さ」のように捉えられます。

逆流が確認された場合には、NTや鼻骨、静脈管の血流など他の指標とあわせて総合的に評価します。他の所見によっては、NIPTや羊水検査、または胎児心エコーの精査が推奨されます。

口唇口蓋裂

口唇裂や口蓋裂は、胎児の顔面形成の過程で左右がうまく癒合しなかった場合に生じる先天異常で、妊娠12週以降の超音波検査で発見されることがあります。出生後の形成外科的手術で良好に治療されますが、他の先天異常や染色体異常、遺伝子異常の一部として現れることもあるため、注意深い評価が必要です。
単独の口唇裂・口蓋裂なのか、他の異常を伴っているかによって対応は異なります。必要に応じて遺伝カウンセリングを受けたり、羊水検査による精査を検討する場合もあります。

また、出生前に診断されることで、出生後すぐに必要な医療支援や授乳準備、専門病院での出産調整などを行うことができ、ご家族が安心して赤ちゃんを迎える準備につながります。

「気になる」は胎児医療の第一歩

これらはほんの一例です。無脳症など、その所見だけで、命に関わる話になることもあります。
胎児ドックで異常が見つかると、不安を感じる方も少なくありません。けれども、まず“知ること”が、適切な検査や治療、必要な支援につながる第一歩です。知らなければ、できたはずの準備や選択の機会を逃してしまうこともあります。

特に、どんな子でも産むから胎児ドックなどの出生前検査は受けないと決めている方は、赤ちゃんのことを知ることについて、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。胎児ドックは、賛否両論ある出生前検査の一つですが、大切なのは、「いつどうやってお腹の子と向き合うか」を考えることです。

「確定検査」ってなに?

確定検査とは、絨毛検査や羊水検査を通じて赤ちゃんの染色体や遺伝子の情報を詳しく調べる検査を指すことが多いですが、そこには少し注意が必要です。
病気の「設計図」を見ることで診断に近づきますが、実際の症状の重さまではわからないこともあります。特に、染色体の一部が欠失しているときや、身体の一部の細胞のみに染色体異常があるときなど、生まれた後の様子を全く予測できないようなこともあるので、必ずしも「確定」されることばかりではありません

また、形の異常(形態異常)など、超音波でしか評価できない情報もあるため、遺伝学的検査とエコーの両面から総合的に判断することが大切です。

絨毛検査

絨毛検査は、妊婦さんのお腹に細い針を刺したり、子宮頸管からチューブを通す方法で、胎盤のもとになる“絨毛”を採取し、赤ちゃんの染色体や遺伝子の異常を調べる検査です。

実施できるのは妊娠11〜14週ごろ。病気の「設計図」にあたる情報から、異常の有無を診断しますが、症状の重さや実際にどう現れるかまでは分かりません。 流産のリスクは約0.3%(※)とされ、また「赤ちゃんは正常でも絨毛だけに異常がある」例もあるため、結果の解釈には注意が必要です。 羊水検査に比べて高い技術を要するため、実施できる施設・医師は限られます。

羊水検査

妊婦さんの子宮内から羊水を採取し、調べる検査です。
羊水検査と一口に言っても、「何を調べるか」によって検査の内容は大きく異なります。それは、大人の健康診断で血液検査をするとき、目的によって肝機能や糖尿病など調べる項目が違うのと同じです。

たとえば、染色体数を調べる検査と、微細な遺伝子の変化を探る検査では、検査方法も時間も費用も異なります。 そのため、検査の前に「何を疑っているのか」「何を知りたいのか」を明確にしておくことがとても大切です。

羊水検査は、多くの場合、胎児ドックなどで異常のサインが見つかった後に行われます。
なぜなら、何らかの異常をきっかけに、“どの病気を疑うか”を絞って検査を行う必要があるからです。羊水検査を受ける際は、それでなにがわかるのか、わからないのか、を確認するようにしましょう。

臍帯採血

臍帯採血(胎児血採取)は、妊娠中に胎児の臍帯から直接血液を採取して、染色体や遺伝子などを調べる検査です。 通常は妊娠17週以降に行われ、絨毛検査や羊水検査よりも高度な技術を要するため、実施できる施設や医師が限られています

近年では、NIPTが陽性だったにもかかわらず、胎児ドックで形態異常がまったく見られない場合などに、胎児が本当に異常を持っているのか、低頻度モザイク(胎盤だけに異常がある状態)を見分ける目的で行われることがあります。
また、羊水検査をした後に、さらに情報を増やしたくて検討することもあります。
適応はごく限られたケースであり、検査の必要性とリスクを慎重に医師と相談して判断することが大切です。

検査後、診断が確定した後は
どうすればいい?

赤ちゃんの病気が確定すると、「どうすればいいのか分からない」と感じる方が少なくありません。
そんなときは、その病気の診療経験を持つ小児科医や遺伝専門医から、詳しい説明を受けることができます。 病気の経過や治療法、家族への影響など、具体的な情報を知ることで、選択肢を整理し、気持ちを落ち着ける手がかりにもなります。 もし治療の可能性がある場合には、出生前から治療を検討できる専門機関につながることもあります。

検査を受ける前に、もし〇〇病だったらどうしよう、と想定して考えるのも大切です。しかし現実には、聞いたこともない病気が見つかるかもしれませんし、逆に先入観を持たずに、まずは情報集めの目的で胎児ドックを受けるのも良いでしょう。

最新の医療知識や過去の症例を踏まえて、おなかの赤ちゃんのために今できる準備を、一緒に考える支援体制が整った医療機関で受けることが重要です。 一人で抱え込まず、まずは信頼できる医療者に相談してみてください。

遺伝カウンセリングを受けるのも
一つの手段です

遺伝カウンセリングとは、遺伝や疾患に関する不安や疑問を持つ人たちに、専門的な立場から正確な医学情報を分かりやすく伝え、そのうえで心理的・社会的なサポートを提供し、自立的な意思決定をサポートする医療行為です。
もし遺伝の可能性がある場合には、どのような治療やサポートがあるのか追加検査の提案や、きょうだい・次の子への影響、今後の選択肢についても一緒に考えることができます。

FMF胎児クリニック東京べイ幕張院長
林 伸彦先生より
「決まった正解がないからこそ、整理と相談が大切」
――胎児ドックの
“その後”にあるもの

「何か見つかったらどうしよう」――それは、誰もが抱える自然な不安です。
でも、“見つかる”ことで初めて、
「どう備えられるか」「どんなサポートがあるか」「家族にとってのベスト」を一緒に考えることができます。

胎児ドックの結果をきっかけに、
赤ちゃんのためにできることが明確になることもあれば、 ご家族が心の準備をする時間を持てるようになることもあります。

検査の先には、選択肢があります。
大切なのは、「こうすれば正しい」というひとつの正解がない中で、
ご家族それぞれが自分たちの状況を整理し、納得できる選択を見つけていくこと。

だからこそ、まずは安心して、相談してください。 私たちはその対話の場に、医療として寄り添います。

監修
FMF胎児クリニック東京べイ幕張 院長 林 伸彦先生
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FMF胎児クリニック東京べイ幕張
院長 林 伸彦先生
           

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。

           
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