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胎児ドックは、超音波(エコー)を使って赤ちゃんの状態を詳しく確認する検査です。赤ちゃんの成長だけでなく、手足や顔などの形、心臓をはじめとする臓器の状態、染色体疾患の可能性に関連する所見などを評価します。
胎児の体は妊娠週数とともに大きく変化していくため、初期と中期では確認しやすいポイントが異なります。
「赤ちゃんが大きくなってから受けた方が、何でもよく見えるのでは?」と思うかもしれません。しかし、妊娠初期だから評価しやすい所見がある一方、中期になって赤ちゃんが成長してから詳しく確認しやすくなる臓器もあります。
そのため、胎児ドックを受ける時期は単純に「早い方がよい」「遅い方がよい」と考えるのではなく、今の妊娠週数と、何を知りたいのかを踏まえて考えることが大切です。
初期胎児ドックと中期胎児ドックでは、受ける時期の目安と主な目的が異なります。
| 初期胎児ドック | 中期胎児ドック | |
|---|---|---|
| 時期の目安 | 妊娠11週0日~13週6日頃 | 妊娠18~20週頃がひとつの目安 |
| 主に確認すること | 初期に確認できる胎児の形態や、染色体疾患の可能性に関連する所見など | 脳・心臓・背骨・顔・四肢など、赤ちゃんの全身の形態 |
| 特徴 | 妊娠初期だからこそ評価しやすい所見がある | 赤ちゃんが成長し、臓器などの構造をより詳しく観察しやすくなる |
日本超音波医学会の「超音波による胎児形態の標準的評価法」では、妊娠初期の胎児超音波検査について妊娠11週0日~13週6日を推奨時期としています。また、中期の形態評価については妊娠18~20週での実施を推奨し、21週以降の実施も選択できるとしています。
ただし、実際に胎児ドックを行う時期や検査内容は医療機関によって異なります。受診を希望する場合は、現在の妊娠週数を伝えたうえで医療機関に確認しましょう。
初期胎児ドックは、一般的に妊娠11~13週頃に行われます。この時期には、赤ちゃんの全身の形を確認するとともに、染色体疾患の可能性に関連する超音波所見などを評価します。
初期の胎児ドックで確認する項目には、一般的に以下のようなものがあります。
染色体疾患の可能性については、胎児の首の後ろのむくみ(NT:nuchal translucency)や心拍数、血流など、複数の所見を参考に評価することがあります。
ただし、胎児ドックの超音波所見だけで、染色体疾患の有無を確定することはできません。必要に応じてNIPTなどの非確定的検査や、絨毛検査・羊水検査などの確定的検査について医師から説明を受けることがあります。
「赤ちゃんがもっと大きくなってから詳しく見ればよいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、胎児の成長によって見え方は変わります。
妊娠初期は、胎児の全身を一度に観察しやすく、NTなどこの時期に評価することに意味のある所見もあります。
一方で、初期の段階ではまだ小さく、十分に評価できない臓器や、妊娠が進んでから明らかになる異常もあります。初期胎児ドックだけですべての病気がわかるわけではありません。
初期胎児ドックについて調べたときには、すでに妊娠14週を過ぎていたという方もいるでしょう。
「初期の時期を逃したから、もう赤ちゃんの状態を詳しく調べられない」というわけではありません。
妊娠初期には初期だから評価しやすい項目がありますが、中期になると赤ちゃんの成長に伴い、心臓や脳、背骨などをより詳しく確認できるようになります。
受けられる検査は妊娠週数や医療機関によって異なるため、「もう遅い」と自己判断せず、現在の妊娠週数でどのような検査ができるのかを医療機関へ相談してみましょう。
中期胎児ドックは、赤ちゃんの体が大きくなり、各臓器の構造を詳しく観察しやすくなる時期に行われます。
日本超音波医学会では、胎児形態の評価について妊娠18~20週での実施を推奨し、21週以降の実施も選択できるとしています。
妊娠中期になると、脳、心臓、背骨、顔、四肢など、赤ちゃんの全身をより詳しく観察できます。中期の胎児ドックで確認する項目には、一般的に以下のようなものがあります。
初期よりも赤ちゃんが成長しているため、臓器の細かな構造を確認しやすくなるのが中期の特徴です。
初期胎児ドックで特に気になる所見がなかった場合、「中期胎児ドックはもう受けなくてもよいのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、初期と中期では確認する目的や、見えやすい異常が異なります。
妊娠初期にはまだ小さく十分に確認できなかった臓器も、妊娠中期には成長することで詳しく評価しやすくなります。また、胎児の発育に伴って初めて明らかになる所見もあります。
そのため、「初期で異常がなかったから、中期で確認することは何もない」というものではありません。初期の結果や妊娠経過を踏まえて、中期にどのような確認が必要なのかを担当医と相談するとよいでしょう。
NIPTを受けて陰性だった方の中には、「染色体の病気の可能性が低いなら、胎児ドックは必要ないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。
NIPTと胎児ドックでは、主に調べているものが異なります。
NIPTは母体の血液を使って、主に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーなどの染色体疾患の可能性を調べる検査です。一方、胎児ドックでは超音波を使って、心臓・脳・背骨・手足など赤ちゃんの体の形態を直接観察します。
そのため、NIPTが陰性であっても、NIPTの対象ではない病気や形態異常まで否定されたわけではありません。
「NIPTと胎児ドックのどちらを受ければよいか」という二者択一ではなく、それぞれ何を調べる検査なのかを理解したうえで考えることが大切です。
妊婦健診でも超音波検査を受けるため、「毎回エコーをしてもらっているなら、胎児ドックも同じなのでは?」と思う方もいるでしょう。
こども家庭庁では、胎児超音波検査について、通常の妊婦健診で行う超音波検査より時間をかけて赤ちゃんを調べ、専門的な訓練を受けた医師や検査技師が臓器や手足などを観察する検査と説明しています。
一方、通常の妊婦健診では、赤ちゃんの成長や心拍、胎盤の位置などを確認するために超音波検査が行われますが、どこまで詳しく胎児の形態を確認するかは医療機関の方針や母体・胎児の状態などによって異なります。
「妊婦健診のエコーでは病気がわからない」という意味ではありませんが、胎児の臓器などを詳しく確認する胎児超音波検査とは目的や検査内容が異なる場合があります。気になる場合は、通っている医療機関でどのような超音波検査を行っているのか確認してみましょう。
胎児ドックを受ければ「赤ちゃんに病気があるかどうか、すべてわかる」と考えてしまうかもしれません。しかし、超音波検査にも限界があります。
そのため、胎児ドックで「異常を認めない」と言われても、赤ちゃんにあらゆる病気がないことを保証する結果ではありません。
反対に、超音波検査で何らかの所見が見つかった場合も、それだけで病気が確定するとは限りません。必要に応じて詳しい超音波検査や遺伝学的検査などを行い、専門医と相談しながら確認していきます。
妊娠後期になると、赤ちゃんの発育状況を確認するとともに、中期までには明らかでなかった異常が見つかることがあります。
後期の胎児ドックでは、一般的に以下のような項目を確認します。
初期・中期に問題がなかった場合でも、その後の成長過程で確認できるようになる所見があります。必要な検査時期については、これまでの検査結果や妊娠経過を踏まえて担当医と相談しましょう。
「初期と中期の両方を受けた方がいいの?」「どちらか一度しか受けないなら、どちらがいい?」と迷う方もいるでしょう。
しかし、初期胎児ドックと中期胎児ドックには、それぞれ異なる役割があります。
「初期と中期のどちらが優れているか」ではなく、何を知りたいのか、今何週なのかによって考えることが大切です。
「もし赤ちゃんに病気が見つかったらどうしよう」と考えると、胎児ドックを受けること自体が怖くなることもあると思います。
胎児ドックを受けるかどうかを考えるときは、単に「病気があるか知りたいか」だけでなく、「何を知りたいのか」「もし何か見つかったときに、どのような情報や支援がほしいのか」まで考えてみることも大切です。
出生前の検査は、受けること自体が目的ではありません。結果によっては、出産する病院や出生後の治療について事前に準備できる場合もあります。
一方で、「どこまで知りたいか」という考え方は人によって異なります。自分だけで決めきれないときは、パートナーや担当医、必要に応じて遺伝カウンセリングなどを利用しながら考えていきましょう。
日本超音波医学会の「超音波による胎児形態の標準的評価法」では、妊娠初期の胎児超音波検査について妊娠11週0日~13週6日での実施を推奨しています。ただし、実際に胎児ドックを行う週数や検査内容は医療機関によって異なるため、予約前に確認しましょう。
日本超音波医学会では、中期の胎児形態評価について妊娠18~20週での実施を推奨し、21週以降の実施も選択できるとしています。赤ちゃんの成長や医療機関によって適した時期が異なる場合があるため、受診先へ確認してください。
妊娠14週を過ぎたからといって、その後赤ちゃんの状態を詳しく確認できなくなるわけではありません。中期には、成長した心臓や脳、背骨などを詳しく観察する検査があります。現在の妊娠週数で受けられる検査を医療機関へ相談してみましょう。
初期と中期では確認しやすい異常や臓器が異なります。初期では十分に確認できなかった部分が中期になると詳しく観察できることもあるため、「初期で異常なしだったから中期では確認することがない」というわけではありません。必要性については担当医と相談しましょう。
NIPTと胎児ドックでは調べているものが異なります。NIPTで対象となる染色体疾患の可能性が低いという結果でも、心臓や脳、背骨などの形態異常まで否定できるわけではありません。中期胎児ドックでは、超音波を使って赤ちゃんの全身の形態を詳しく確認します。
妊婦健診でも超音波検査は行われますが、検査内容は医療機関や妊娠経過などによって異なります。胎児超音波検査では、通常の妊婦健診より時間をかけて赤ちゃんの臓器や手足などを詳しく観察します。通っている医療機関でどの程度まで形態を確認しているのか気になる場合は、担当医に聞いてみましょう。
胎児ドックは、赤ちゃんの成長段階によって確認しやすいポイントが異なります。
初期胎児ドックでは、妊娠初期の赤ちゃんの形態や染色体疾患に関連する所見などを評価できます。一方、中期胎児ドックでは赤ちゃんの体が成長し、心臓・脳・背骨などをより詳しく観察できるようになります。
大切なのは、「初期と中期のどちらが優れているか」ではなく、「今の妊娠週数で何を確認でき、自分たちは何を知りたいのか」という視点です。
また、胎児ドックですべての病気がわかるわけではありません。検査でわかること・わからないことの両方を理解したうえで、現在の妊娠週数や希望について担当医と相談し、自分たちが納得できる検査を考えていきましょう。
生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
FetalHeart(フィータルハート)は、出生前検査や胎児医療に関する正しい情報を、悩むご家族の立場に寄り添って届けるメディアです。皆さんの悩みに寄り添い、選択するお手伝いを少しでもできれば幸いです。
林 伸彦先生より
“何を知りたいか”で選ぶ
検査です
「胎児ドックとNIPT、どちらがいいですか?」
「初期と中期、どちらか一回だとしたら、どちらがいいですか?」
――そう聞かれることは少なくありません。とても自然な疑問だと思います。
でも医療者としての答えは、「目的に応じて選んでほしい」というのが正直な気持ちです。
染色体異常の可能性を調べたいのか。 それとも、赤ちゃんのからだを詳しくチェックしたいのか。
病気があるとき、出産したときに驚かないための準備なのか、胎児治療のための検査なのか。
検査には必ず目的があります。
「自分たちは何を知りたいのか」「今の時点では何は知りたくないのか」という視点を持つこと。
その問いに向き合うことが、より納得のいく選択につながる第一歩だと、私は思っています。