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出血や下腹部痛があり「切迫流産」と言われると、赤ちゃんにダウン症などの染色体異常があるのではないかと、頭から離れなくなることがあります。まず知っておきたいのは、切迫流産の症状だけで、染色体異常の有無を判断することはできないということです。
切迫流産は、妊娠22週未満で出血や下腹部痛などがみられるものの、胎児が子宮内で生存している状態を指して使われます。出血があっても妊娠がそのまま継続する場合はあります。一方、流産は妊娠が継続できなくなった状態です。名称が似ているため、「切迫流産=流産になる」「切迫流産=染色体異常がある」と受け止めてしまいがちですが、診断や見通しは超音波検査、妊娠週数、出血量、痛みなどを合わせて判断します。
日本産婦人科医会は、臨床的に流産と診断される流産の50〜70%に染色体異常を伴うとしています。これは流産に至った妊娠についての説明であり、現在出血している妊婦さん一人ひとりの状態を症状だけで予測するものではありません。切迫流産の原因には、絨毛膜下血腫、子宮頸部や感染に関する問題など、さまざまな要因があります。
ここで大切なのは、もし経過が思わしくなかったとしても、仕事、歩行、食事、性行為など、妊婦さんの行動だけが原因とは限らないことです。妊娠初期の流産には、受精卵側の偶発的な染色体の変化が関わることがあります。自分を責めるより、今の症状を医療機関に正確に伝えることを優先してください。
このような場合は、染色体異常の心配だけでなく、流産や異所性妊娠など緊急の確認が必要なことがあります。妊婦健診を待たず、かかりつけの産婦人科へ連絡してください。夜間や休日の連絡先は、母子手帳や医療機関の案内を確認しましょう。
NIPT、超音波マーカー検査、コンバインド検査などは、主に染色体の病気がある可能性を調べる非確定的検査です。陽性でも確定ではなく、必要に応じて絨毛検査や羊水検査などの確定的検査を検討します。検査を受ける場合も、結果が出た後の相談先まで含めて選ぶことが重要です。
切迫流産の不安から検査を急いで申し込む前に、まず「今の症状の診察」と「出生前検査の相談」を分けて考えることをおすすめします。前者は母体と妊娠経過を守るため、後者は検査の限界や結果を受け止める準備のためです。
医療機関では、妊娠週数、出血が始まった時期と量、痛みの場所や強さなどを確認します。超音波検査では、胎嚢の位置、胎児心拍、胎児の大きさ、子宮内の血腫などを観察します。妊娠がごく初期の場合は、一度の診察だけでは判断できず、一定期間を空けて超音波検査や血液検査を行う場合があります。
受診時には、最後の月経開始日、出血の色と量、ナプキンを交換した回数、痛みが続いた時間、血の塊が出たかなどを伝えると診察に役立ちます。出血したものを無理に持参する必要はありませんが、医療機関から指示を受けた場合はその指示に従ってください。
妊娠12週未満の早期流産では、胎児側の偶発的な染色体の変化が関係するケースが多いとされています。一方、妊娠12週以降では、感染症、子宮頸管の問題、子宮の形態など母体側の要因も相対的に増えます。ただし、個々の原因は週数だけで断定できません。
染色体の数の変化は、一般的には受精の前後に生じます。仕事をしたこと、歩いたこと、食事、性行為などが直接の原因で起きるものではありません。経過が思わしくなかったとしても、「もっと安静にしていれば」と自分を責める必要はありません。
NIPTは、妊婦の血液中に含まれる胎盤由来のDNA断片を分析し、主に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べる非確定的検査です。陽性でも疾患が確定するわけではなく、絨毛検査や羊水検査による確認が必要です。
胎児の首の後ろのむくみなどを確認し、必要に応じて母体血清マーカーと組み合わせて疾患の確率を評価します。通常の妊婦健診と、専門的な胎児超音波検査では目的や観察内容が異なる場合があります。
胎盤組織や羊水中の胎児細胞を採取して染色体を調べる確定的検査です。検査に伴う流産などのリスクがあるため、実施時期、分かる範囲、合併症について説明を受けて判断します。
切迫流産の不安が強いと、検査を受ければすべてが分かるように感じるかもしれません。しかし、NIPTで切迫流産の原因や妊娠継続の可否は判断できません。まず現在の症状を診てもらい、その後に染色体疾患について何を知りたいかを整理しましょう。
心拍確認は妊娠がその時点で継続している重要な所見ですが、染色体疾患の有無を確定するものではありません。
受検できる場合はありますが、妊娠の継続や週数を確認したうえで担当医へ相談してください。症状が強い場合は診察が優先されます。
切迫流産と告げられた直後は、「妊娠を継続できるか」という不安と、「赤ちゃんに染色体疾患があるか」という不安が重なりやすくなります。しかし、この二つは確認方法が異なります。前者は超音波などで現在の妊娠経過を確認し、後者は希望に応じて出生前検査を検討します。
一度の診察や検査ですべてが分かるとは限りません。結果を待つ時間がつらいときは、次回までに注意する症状、連絡先、次の診察で確認する内容を書き留めておくと、漠然とした不安を具体的な行動へ置き換えやすくなります。
出生前検査は、受けること自体を目的にするものではありません。検査で何を知りたいのか、陽性だった場合にどのような追加検査を考えるのか、誰と相談できるのかまで含めて選ぶことが重要です。検査を受けない選択も尊重されるべきものです。
診察や電話相談では、妊娠週数、胎児心拍を確認した時期、出血が始まった時刻、色と量、腹痛や腰痛の有無、現在使用している薬を伝えましょう。ナプキンを何回交換したかなど、具体的な情報があると状態を共有しやすくなります。
出生前検査の相談では、母体年齢だけで受検を決める必要はありません。過去の妊娠歴、家族歴、超音波所見に加え、検査によって何を知りたいかも大切な情報です。パートナーと意見が異なる場合も、結論を出してから相談する必要はありません。
認証施設では、検査前後の遺伝カウンセリングや、陽性時の確定検査について相談できます。採血場所の近さや価格だけでなく、陽性・判定保留になった場合に継続して支援を受けられるかも確認してください。
なお、NIPTが対象とするのは主に3つの染色体疾患です。陰性であっても、胎児のすべての病気、形態異常、発達上の特徴が否定されるわけではないため、通常の妊婦健診を継続して受けることが必要です。
切迫流産と染色体異常には、流産全体の背景として関連が語られます。しかし、出血や痛みがあるから染色体異常、症状が軽いから大丈夫、と単純には判断できません。症状がある方は産婦人科で経過を確認し、出生前検査を考える場合は、検査の種類・限界・陽性後の確定検査と相談体制を説明してくれる施設で相談しましょう。
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生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
FetalHeart(フィータルハート)は、出生前検査や胎児医療に関する正しい情報を、悩むご家族の立場に寄り添って届けるメディアです。皆さんの悩みに寄り添い、選択するお手伝いを少しでもできれば幸いです。