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出血して、病院で聞いたことのない診断名を告げられて、家に帰ってから検索して、余計に不安になっていませんか。怖くなるのは、当然のことです。
先にお伝えしておきたいことがあります。絨毛膜下血腫は、たまった血が自然に吸収されたり外に出たりして小さくなり、そのまま妊娠が継続する方のほうが多いとされています。
このページでは、絨毛膜下血腫について、「すぐに産院へ連絡すべきサイン」「数字や所見の受け止め方」「次に何を確認すればよいか」の順に整理します。今夜のあなたに必要なことから、順にお伝えしていきます。
出血中にこの記事を読んでいる方もいると思います。まず、すぐに連絡・受診してほしいサインを確認してください。
「これくらいで連絡していいのかな」と遠慮する方がとても多いのですが、迷った時点で電話して大丈夫です。「結果的に何でもなかった」としても、それでいいんです。産院のスタッフはそういう電話に慣れていますし、連絡してくれたほうが安心だと思ってくれています。
少量の茶色い出血が続いている場合は、古い血が体の外に出てきている状態です。絨毛膜下血腫ではよくあることで、茶色くなっているのは「新しい出血ではない」サインとも言えます。ただし、量が増えたり赤い出血に変わったりした場合は、上の項目に戻って確認してください。
絨毛膜下血腫は、胎盤がつくられていく過程で、子宮の壁との間にすき間ができ、そこに血がたまった状態です。
重いものを持ったから。仕事を頑張りすぎたから。立ち仕事だったから。そういった行動と一対一で結びつくものではありません。産婦人科オンラインジャーナルでも「発症は運動量に関係しない」と説明されています。
「あのときこうしていれば防げたのでは」と考えてしまう気持ちは、とても自然なことです。でも、防げたものではなかったのです。
よく聞かれること:「無理をしたせいでしょうか」
そう考えてしまいますよね。でも、絨毛膜下血腫は胎盤が形成される過程で起きるもので、日常の行動が原因で発症するわけではありません。ご自分を責めないでください。
「絨毛膜下血腫があると流産率が2倍」という情報を目にして不安が増した方もいると思いますが、比較してみると実態がよくわかります。
2倍というのは「割合の比較」です。もとの数字が小さいので、2倍になっても「大多数はそのまま妊娠が続く」ことに変わりはありません。
SPRINGER NATURE社が2024年に発表した「1,144人の妊婦さんを対象とした研究」では、20週未満での流産の割合は次のように報告されています。
| 絨毛膜下血腫 | 20週未満で 流産となった方 |
妊娠が 継続した方 |
|---|---|---|
| なし | 5.8% | 94.2% |
| あり | 9.8% | 90.2% |
差は4ポイントほどです。「2倍」と聞くと大きく感じますが、血腫がある場合でも約90%の方は妊娠が継続しています。
また、2011年に発表されたメタアナリシス(1,735人の患者と70,703人の対照群を比較)でも、流産の頻度は約2倍(OR 2.18)と報告されています。つまりこのデータも、多くの方がそのまま妊娠を継続しているということを伝えてくれています。
「2倍」という言葉は、不安を増幅させやすい表現です。でも、この数字はあなたの妊娠がどうなるかを決めたものではありません。あなたの赤ちゃんの経過は、あなたの主治医が一番よく見てくれています。
不安なとき、検索が止められなくなるのはごく自然なことです。ただし、深夜に読む体験談は、重い経験のほうが目に入りやすくなっています。
もし今、検索が止まらないと感じたら、こんな方法を試してみてください。
絨毛膜下血腫は、胎盤と子宮の壁との間に血がたまった状態です。一方、ダウン症(21トリソミー)は赤ちゃんの染色体の状態に関わることです。この2つは、起きている場所もメカニズムもまったく異なります。
「出血した=赤ちゃんに何かある」ということではありません。出血は子宮と胎盤の間の問題であり、赤ちゃん自身の染色体の状態とは別の話です。
詳しくは「切迫流産の出血はダウン症のサイン?」をご覧ください。
血腫の心配とは別に、「赤ちゃん自体が元気なのかを知りたい」という気持ちが生まれるのは、とても自然なことです。
その気持ちに応える方法は、血腫の経過観察とは別に存在します。この記事の後半で、選択肢についてお伝えします。
赤ちゃんを包んでいる膜(絨毛膜)と、子宮の壁との間に、血のかたまりができた状態です。
「血腫」という漢字は怖い印象を受けるかもしれませんが、腫瘍やがんとはまったく関係ありません。
見つかり方にもパターンがあります。出血があって受診した際に見つかることもあれば、出血の自覚がまったくなくても、妊婦健診のエコーで偶然見つかることもあります。
お腹の中の並び順は、外側から順に「子宮の壁 → 絨毛膜 → 羊膜 → 羊水 → 赤ちゃん」となっています。
血腫ができるのは、このいちばん外側にあたる「子宮の壁と絨毛膜のあいだ」です。赤ちゃんは、そこから内側にある羊膜に包まれ、羊水に守られています。
つまり、血腫は赤ちゃんの「外側」にあります。赤ちゃんが血の中にいるわけではありません。
たまった血は、体に吸収されたり、少しずつ外に出たりして落ち着いていくことが多いとされています。産婦人科オンラインジャーナルでも「問題なく妊娠が経過する方の方が多い」と説明されています。「血腫が消えました」と健診で言われる日がくることも、珍しくはありません。
2025年に公開されたメタアナリシスでは、絨毛膜下血腫がある場合、早産(OR 1.65)や常位胎盤早期剥離(OR 2.30)の頻度がやや高いと報告されています。
だからこそ、健診を予定どおりに受け、主治医に経過を見てもらうことが大切です。
主治医はエコーで血腫の大きさや赤ちゃんの状態を確認し、あなたに合った経過の見方を判断してくれます。
大きさ、位置、見つかった時期によって、主治医の見方は変わります。ご自分のケースについては、主治医に直接確認するのがいちばん確かです。
インターネットに「◯cmだと危険」「◯◯の位置だとダメ」といった情報が出てくることがありますが、それをご自分に当てはめて怖くならないでください。画一的な基準で語れるものではなく、あなたの赤ちゃんの状態やほかの所見と合わせて総合的に判断されるものです。
「安静にしてください」と言われる一方で、「安静で経過が変わるとは言えない」とする報告もあります。産婦人科オンラインジャーナルでも「安静にした場合とそうでない場合を比べた場合、両者の経過に差はない」とする報告が紹介されています。
それでも主治医が安静を指示するのには理由があります。出血や痛みを悪化させないため、そして「あのとき無理をしたから」と後悔しないためでもあります。
「出血やお腹の張りが増える動作は控える」というのが、実感に近い目安です。
「絶対に寝たきりでいなければ」と自分に課してしまうと、心が持たなくなります。上のお子さんがいる方・お仕事がある方は、完全な安静が現実的でないこともあるでしょう。
安静の程度は施設によって方針が異なります。「この記事にはこう書いてあった」ではなく、主治医に直接確認するのが確実です。以下は、聞いておくと安心できることのリストです。
「休みたいけれど、言い出しにくい」という方に知っておいていただきたい制度があります。
母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)
主治医に記入してもらうことで、勤務先に対して通勤緩和、勤務時間の短縮、休業などの配慮を正式に求めることができる書類です。厚生労働省のサイトからダウンロードできます。
「診断書を出してもらうのは大げさでは」と思うかもしれませんが、この連絡カードは妊婦さんのための制度です。主治医に「母健連絡カードを書いていただけますか」と伝えるだけで大丈夫です。
そのほかにも、傷病手当金、有給休暇、時短勤務などの選択肢があります。一人で我慢して働き続ける必要はありません。
「いつ治るのか」、はっきりとした期限が言えないのが、この状態のつらいところです。
落ち着くまでに数週間かかることもあれば、妊娠中期(16〜20週頃)に入って自然に治まることも。多くの場合、そのころまでに体内に吸収されて消失すると報告されています。
出血の色が赤から茶色に変わってきたら、それは古い血が出てきているサインです。新しい出血が起きているわけではないことが多いので、少し安心材料になるかもしれません。
「昨日より減った」「今日は少し増えた」と、一日ごとの変動に一喜一憂して疲れてしまう方もいます。日々の変動を大きな流れで見ていくことが大切です。
出血の量・色・痛みの有無を簡単にメモしておくと、受診時に主治医に伝えやすくなります。そして書き出すこと自体が、漠然とした不安を少し整理する助けにもなります。
| 日付 | 出血の量 | 色 | 痛み | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 例)8/24 | ナプキンに少量 | 茶色 | なし | 朝だけ |
| 例)8/25 | ナプキンに少量 | 茶色(昨日より薄い) | なし | 朝だけ |
毎日きちんと書かなければ、と気負う必要はありません。「気づいたときに一行だけ」で十分に役立ちます。
出血が続いていると、診察では血腫の話が中心になりがちです。でも、あなたが本当に知りたいのは「赤ちゃんは元気なの?」ということかもしれません。
妊娠中には、赤ちゃんの体をじっくり時間をかけて見る超音波検査として「胎児ドック」という選択肢があります。通常の妊婦健診よりも詳しく、心臓・脳・腎臓・消化管・手足などの全身を確認します。
胎児ドックでは赤ちゃんの体だけでなく、胎盤の位置や性状、臍帯(へその緒)の状態、羊水の量も確認されます。
初期(11〜13週)ではNT(首の後ろのむくみ)の測定や鼻骨の確認を行います。中期(18〜22週)では脳の構造や心臓の弁の動きまで詳しく見ていきます。
詳しくは「胎児ドック(エコー検査)とは?」をご覧ください。
出血が続いている時期は、まず主治医の指示に従うことが優先です。出血が落ち着いてから、あるいは妊娠中期の評価として検討される方もいます。
受ける時期については「胎児ドックは初期と中期、どっちで受けるのがいい?」でも詳しく解説しています。
受けるかどうかを決める前に、まず話を聞いてみるということもできます。LINEでの問い合わせや、遺伝カウンセリングで相談してから判断される方もいらっしゃいます。
緊張して聞きそびれてしまうこともあると思います。このリストをスクリーンショットやメモに残して、受診時にお使いください。
関係ありません。絨毛膜下血腫は子宮壁と胎盤の間に血がたまった状態であり、赤ちゃんの染色体の状態とは別のメカニズムです。「出血した=赤ちゃんに染色体異常がある」ということではありません。
多くの場合、たまった血は体に吸収されたり、外に出たりして自然に小さくなっていきます。妊娠中期(16〜20週頃)までに消失するケースが多いと報告されています。ただし、経過には個人差がありますので、定期的な健診で確認していくことが大切です。
絨毛膜下血腫は胎盤が形成される過程で起きるもので、「一度なったら必ず繰り返す」というものではありません。次の妊娠で同じ状態になるかどうかは予測が難しく、心配な場合は妊娠がわかった時点で主治医に相談してみてください。
出血が止まったことはよいサインですが、血腫が完全に消失したかどうかはエコーで確認する必要があります。出血が止まっても予定どおりの健診は受けるようにしてください。主治医が「もう心配ありません」と言ってくれる日を、一緒に待ちましょう。
抱っこしたことで血腫が急に悪化するという報告は一般的ではありません。ただ、重いものを持つ動作は避けたほうが安心です。すでに抱っこしてしまった場合は、その後出血が増えていないか様子を見て、心配であれば主治医に相談してみてください。ご自分を責めないでくださいね。
いいえ、赤ちゃんは血腫の中にいるわけではありません。血腫は子宮壁と絨毛膜(赤ちゃんを包む膜の外側)との間にたまっているものです。赤ちゃんは羊膜の中で羊水に守られています。
はい。胎児ドックという超音波検査では、赤ちゃんの全身を通常の健診より詳しく確認することができます。出血が落ち着いた時期や、妊娠中期に入ってから受けることを検討される方もいます。まずは主治医に相談してみてください。
「血腫」は腫瘍とは関係なく、多くは自然に落ち着いていくものでダウン症のサインでもありません。
やることは、「連絡すべきサインを覚えておく」「健診を受ける」「無理をしない」、この3つだけです。
不安が続いている場合は、一人で検索を続けず、かかりつけの産婦人科や胎児医療を専門とする医療機関、遺伝カウンセリングなどに相談してみてください。
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生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
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