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胎児治療とは、生まれる前の赤ちゃんに対して病気の治療を行うことです。
妊婦さんに薬物を投与して行う治療から、子宮を開いて直接赤ちゃんの手術を行う方法まで、治療の方法はさまざま。ここでは、4つの種類に分けて治療方法をご紹介します。

妊婦さんが薬を飲んで行う治療です。
胎盤を通して、妊婦さんが飲んだ薬の成分がおなかの赤ちゃんに届きます。
これにより、赤ちゃんの症状改善をサポートする治療方法です。
赤ちゃんの不整脈の治療などで行われています。

妊婦さんのおなかに細い針を刺して行う治療です。
血液型不適合妊娠やパルボウイルス感染(りんご病)などで赤ちゃんが貧血になっている場合、針を刺して輸血することがあります。
赤ちゃんの胸に水が溜まっている病気では、赤ちゃんに直接針を刺して水を抜く治療を行います。

「胎児鏡」と呼ばれるカメラを子宮の中に入れて行う治療法です。カメラといっても直径数ミリメートルと小さいものを使用します。
たとえば双胎間輸血症候群は、1つの胎盤で2人の赤ちゃんを育てているときに起こる病気です。胎盤が一つでも問題なく血液が行き来すれば良いのですが、バランスが崩れ、一方の赤ちゃんにばかり血液が届いてしまうことがあります。
この場合は、おなかにカメラを入れて血管を確認。カメラの横から入れたレーザーファイバーで双子の間にある吻合血管を行き来する血流をレーザーで遮断して治療します。

手術で子宮を開けて、直接赤ちゃんを治療する方法で、下肢麻痺などの神経障害の原因となる脊髄髄膜瘤などに対して行われます。
妊婦さんにも赤ちゃんにも負担が大きい治療であり、実施できる病院も多くありませんが、「命を助けるためにはこれしかない」という場面があります。
胎児治療は、おなかの中で進行し、生まれてから治療するのでは間に合わないような病気に対して行われています。
ここでは、代表的な病気の例をご紹介します。
横隔膜の欠損部分から、胃や腸、肝臓などが胸腔内に入り込み、肺の成長が滞ることで生後に呼吸がうまくできなくなる病気です。
治療法は、妊婦さんのおなかから胎児鏡を挿入して、赤ちゃんの気管内に膨らませたバルーンを置いておく「胎児鏡下バルーン気管閉塞術」です。
妊娠27週0日~31週6日の間に行い、34週ごろにバルーンを抜去します。この処置により、胎児の肺成熟が改善します。
赤ちゃんの膀胱から尿道の出口にかけての尿の通り道(下部尿路)が狭くなり、尿が膀胱にたまってしまう疾患です。進行すると腎臓機能が低下してしまいます。
胎児治療は、妊娠26週未満で、合併奇形がなく腎機能が正常な場合だけ行います。
治療法はシャントチューブを挿入する「羊水腔シャント術」や胎児鏡を使う「胎児膀胱鏡下後部尿道弁切開術」が検討されることがあります。治療により病気そのものが「治る」というわけではないので、 治療後にどう成長していくのかよく聞いた上で、胎児治療について検討します。
赤ちゃんの3〜5%(※)が、何らかの病気を持って生まれてくるというデータがあります。先天性の病気の多くは、胎児ドックで見つけることが可能です。
医療技術の進歩によって診断と治療の精度が向上し、できる治療も増えています。特に、病気を抱えた赤ちゃんは、生まれて自分で呼吸をした時に急変しやすいため、あらかじめ胎児ドックで病気を知っておくことが大切。おなかの中にいるうちに治療したり、準備したりすることで、健康に生まれてくるための環境を整えることができるでしょう。
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生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。
FetalHeart(フィータルハート)は、出生前検査や胎児医療に関する正しい情報を、悩むご家族の立場に寄り添って届けるメディアです。皆さんの悩みに寄り添い、選択するお手伝いを少しでもできれば幸いです。
林 伸彦先生より
赤ちゃんの未来を
変えることもあります
“まだおなかの中にいるうちに治療する”
――かつては夢のように思われていたその医療が、今では少しずつ現実になっています。
胎児治療の目的は、「生まれたその瞬間を、少しでも安全に迎える」こと。
そして、生まれたあともその命が守られるように、おなかの中から支えること。
それが、私たちが目指す「胎児を診る医療」です。
すべての赤ちゃんに治療が必要なわけではありません。
でも、“必要な赤ちゃんに必要な支援を届ける”ためには、まず気づくことが欠かせません。
胎児ドックを通じて、“早く気づける医療”と“その先に続く支援”をしっかりつなげていく。
それが、私たちの願いです。