クアトロテストとNIPTどっちを受けるべき?

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もくじ

出生前検査を考えるとき、よく比較されるのが「クアトロテスト」と「NIPT(新型出生前検査)」です。
どちらも妊婦さんの血液を使って、赤ちゃんに染色体異常らしさがないかを評価する“スクリーニング検査”ですが、検査方法や対象、精度などに大きな違いがあります。

クアトロテストとNIPTの違い

クアトロテストとNIPTでは、わかる病気や検査条件、精度などが異なります。主な違いは以下の通りです。

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NIPT クアトロテスト
検査を受ける時期 妊娠10以降
※結果次第で羊水検査を行う場合、17週頃までが推奨
妊娠15~21週
※結果次第で羊水検査を行う場合、17週頃までが推奨
検査でわかること
(非確定)
21トリソミー
18トリソミー
13トリソミー
21トリソミー
18トリソミー
開放性神経管奇形(二分脊椎や無脳症)
結果の出方 陽性 / 陰性 「1/500」などの確率
疾患がある時に検査陽性となる確率 約99%
(見落としが少ない)
約80%
(見落としが多い)
検査費用 10〜20万円 2〜3万円
注意点 精度99%と表現されることが多いが、
検査陽性の時の的中率はもっと低い
年齢情報を用いるため、高年妊娠では陽性になりやすい

クアトロテストは、妊婦の血液中に含まれる4つのマーカー(AFP、非抱合エストリオール、hCG、インヒビンAなど)を測定し、その値から統計的に染色体異常の可能性を評価する母体血清マーカー検査です。赤ちゃん自身のDNAを直接調べるのではなく、母体血清中のマーカーの変動パターンから確率を算出するため、結果は「1/500」といった確率・リスク値として示されます。

一方、NIPTは妊婦の血液中に存在する胎児由来の細胞外DNA(cffDNA)を次世代シーケンシング技術で解析し、胎児の染色体の状態を直接評価する検査です。結果は「陽性/陰性」という明確な判定で示され、より精確なスクリーニング情報を提供します。

精度に差が出る最大の理由は、評価する情報の違いにあります。クアトロテストはマーカー濃度に基づく統計的分析であり、妊娠週数や体重、母体の特性など染色体異常以外の要因が結果に影響しやすく、検出率は約80〜86%程度です。NIPTは胎児由来のDNAそのものの異常を分子レベルで直接検出するため、対象の染色体異常に対して約99%以上という高い感度と特異度を示します。つまり、間接的に血清マーカーを見るか、直接的に胎児の遺伝情報を見るかという検査方法の根本的な違いが、精度の差を生み出しているのです。

なお、共通の注意点として、あくまでもスクリーニング検査であり、確定にはならないこと。
心臓病や手足の病気などの形態異常はわからない(先天疾患の約20%のみがわかる検査)ことが挙げられます。

クアトロテストとは

母体の血液に含まれる4種類の成分(AFP、非抱合型E3、hCG、インヒビンA)を測定し、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、開放性神経管欠損症(二分脊椎・無脳症など)のリスクを評価します。
「母体血清マーカー検査」とも呼ばれ、妊娠15〜21週頃に受けられる検査です。

クアトロテストのメリット

クアトロテストの最大のメリットは、採血のみで行う非侵襲的検査であるため、母体や胎児への直接的なリスク(流産など)がほぼない点です。また、NIPTに比べて費用が抑えられており、一般的に数万円程度で受けられるため経済的負担が少なく済みます。さらに、クアトロテストでは染色体異常だけでなく、開放性神経管奇形(二分脊椎・無脳症など)のリスク評価も行えるという特徴があります。これはNIPTでは基本的に対象外となる項目であり、クアトロテスト独自の評価範囲として重要なポイントです。

クアトロテストのデメリット

クアトロテストの主なデメリットは、精度(感度・特異度)がNIPTに比べて低い点です。血清マーカーを統計的に評価する方法のため、異常の検出精度が劣るとされています。また、検査結果はあくまで「可能性」を示すスクリーニングであり、陽性でも確定診断には羊水検査などが必要となります。さらに、検査結果の確率計算に母体の年齢などが反映されるため、外部要因の影響を受けやすく、特に高齢妊娠では陽性判定が出やすい傾向があります。こうした統計的評価の性質上、個別の状況によって結果の解釈が複雑になる場合があります。

NIPTとは

母体の血液中にある胎盤由来のDNA断片を解析し、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性を評価します。
結果は「陽性」「陰性」「判定保留」などと表現され、100%の結果ではないものの、クアトロテストよりもシンプルな結果表現となります。より高い精度で早い時期(妊娠10週以降)に検査できるのも特徴です。

医療機関によっては、上記3つ以外の症候群についても検査対象となる場合があります。
検査対象疾患は多様なこと、将来の症状の予測が困難なことも多いこと、疾患頻度が低いこと、胎盤モザイクによって陽性になる場合があることなど、容易ではない検査です。「いろんな病気がわかる高額な検査の方がいいだろう」という安易な考えで受検するものではありません

NIPTのメリット

NIPTの最大のメリットは、胎児由来の血中DNA(cffDNA)を解析するため、非常に高い検出精度を持つ点です。特に3大染色体異常(21・18・13トリソミー)に関しては約99%以上という高精度でスクリーニングができます。また、統計的な確率ではなく陽性/陰性で明確な判定結果が示されるため、判断がしやすく、クアトロテストと比べて偽陰性(異常が見逃される可能性)が非常に低いとされています。採血のみの非侵襲的検査でありながら、分子レベルでの直接的な評価が可能という点で、スクリーニング検査として優れた特性を持っています。

NIPTのデメリット

NIPTの主なデメリットは、検査費用が高額である点です。一般に10〜20万円前後と、クアトロテストより経済的負担が大きくなります。また、日本国内では一定の条件(妊娠週数や年齢、紹介状など)を満たさなければ受けられない施設もあり、アクセスに制約がある場合があります。さらに、検査精度が高くても確定診断にはならないため、陽性の場合は羊水検査などの確定診断が推奨されます。加えて、NIPTは主に染色体数異常を対象としており、形態異常や他の先天異常を直接評価できない場合がある点も理解しておく必要があります。

迷った時の判断ポイント

クアトロテストとNIPTでは、検査方法やわかること、検査費用などが異なるため、よく把握した上で自分たちの意向や状況に合った方を選ぶことが大切です。

費用面では、クアトロテストが低価格です。ただし、クアトロテストは、年齢が高いほど、もともとのトリソミーの可能性が高いため、結果(陽性の確率)は高くでやすいという特徴もあります。また、検査実施時期も遅いため、もし陽性だった時には、羊水検査をするかどうか比較的短期間に決める必要があります。

どちらを受けた妊婦さんが多い?

編集チームが行った調査(※)では、それぞれの検査を受けた割合は以下となりました。

  • NIPTを受けた人:29%(207人中、60人)
  • クアトロテストを受けた人:15.5%(207人中、32人)

上記以外では、胎児ドックと回答された方が9.2%(19人)、いずれも受けていないという人が60.9%(126人)でした。

※調査について
調査名:ご自身に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ(調査機関:ファストアスクアンケート)
実施期間:2025年3月24日~28日
対象:全国の3年以内に妊娠・出産を経験した女性(有効サンプル数:221名)
※記載している年齢は調査時点の年齢です。

NIPTを受けた理由

  • 早い週数で受けることができたから
  • 高齢出産だったから
  • 行っている病院が採用している検査だったから
  • 気になっている疾患がわかる検査だったから
  • 超音波検査で染色体異常の可能性が高いと言われたから
  • クアトロテストでトリソミーの可能性が高いと言われたから(※)

※クアトロテストの結果結果が「陽性」だった時に、より精度が高いと言われるNIPT検査を受けた人もいるようです。

クアトロテストを受けた理由

  • 行っている病院が採用している検査だったから
  • 気になっている疾患がわかる検査だったから
  • 周りにその検査を受けた人がいたから
  • 金額が安かったから

検査精度と「偽陽性」について

クアトロテストの「確率」の考え方

クアトロテストは、母体血中の4つのマーカー(AFP、hCG、uE3、Inhibin A)と妊娠週数・母体年齢などの情報を元に、特定の染色体異常に該当する可能性を確率(例:1/295)で示す検査です。結果は「この確率より高い・低い」という基準値と比較され、基準値を超えると「陽性=ハイリスク」と判定されます。この確率は統計モデルに基づくものであり、「実際に疾患がある/ない」を断定するものではなく、あくまで疑いの強弱を示す指標です。一般的にクアトロテストの検出率(感度)は約80%程度とされ、偽陽性率(本当は異常がないのに陽性となる率)は比較的高めで約9%程度とも報告されています。

見逃してはいけない「偽陽性」のリスク

偽陽性とは、検査結果が「陽性」だったにも関わらず、実際には疾患や染色体異常が存在しない場合を指します。クアトロテストは確率計算を用いているため、統計モデルの誤差や母体情報の影響を受けやすく、偽陽性が比較的起きやすいという特徴があります。一方、NIPTは胎児由来のDNA(cffDNA)を解析するため感度・特異度が97%以上と非常に高く、クアトロテストよりは偽陽性率が低い傾向にありますが、100%ではありません。偽陽性がもたらす影響として、妊婦本人や家族に大きな不安・ストレスが生じること、確定診断のために羊水検査などの侵襲的検査を受ける判断に迫られること、さらに経済的・時間的負担が増えることが挙げられます。どの検査でも偽陽性は完全には避けられないため、陽性の場合は確定診断を受けることが推奨されます。

自分が納得できる選択を

クアトロテストもNIPTも、どちらを選んだから「正しい・間違い」ということではありません。
赤ちゃんの状況や養育環境、もし実際に赤ちゃんに病気や症候群が見つかった時のとらえ方は人によって違うため、何より自分にとって納得の選択をすることが大切です。

クアトロテストかNIPTかで悩むなら、胎児ドックという選択を検討するのもおすすめです。
胎児ドックとは、超音波(エコー)検査によって赤ちゃんの形態や染色体異常症のサインを調べる胎児の健康診断のことです。NIPTやクアトロテストよりも赤ちゃんの状態を広範囲に確認することが可能です。

胎児の大きさ(CRL)が45-84mmの大きさであれば、トリソミーらしさも確認できるため、NIPTやクアトロテストを受ける必要があるかどうかを家族で考える際の材料にもなります。

例えば、胎児ドックでダウン症の可能性が「1万分の1」だった場合、それ以上の検査をしないかもしれません。一方、胎児ドックで心疾患な口唇口蓋裂などが見つかった場合、NIPTやクアトロテストなどのスクリーニング検査ではなく、絨毛検査や羊水検査といった、より幅広くより確実な診断につながる検査を受けるかもしれません。

FMF胎児クリニック東京べイ幕張院長
林 伸彦先生より
“どっちが正しいか”より、
“どちらに納得できるか”で
考えてみませんか?

NIPTとクアトロテスト、どちらを選べばいいか迷っている――。
そのお気持ちはとても自然ですし、どちらか一方が「正しい」というわけではありません。

それぞれの検査には、精度・費用・時期・結果の出し方などに違いがあります。
でも一番大切なのは「自分たちが納得できるか」という視点です。

たとえば、
・結果の正確さを重視する方、
・検査後の行動まで見据えて考えたい方
にはNIPTが合っているかもしれません。

一方で、、
・費用を抑えたい方、
・手軽に検査を受けたい方
にはクアトロテストも良い選択肢です。

・どの検査を受けたらよいかわからない
・特定の疾患をチェックするのではなく、胎児が健康かどうか、全般的に知りたい
という方には、妊娠初期の胎児ドックがよい選択肢です。

「どの検査を受けるか」は、夫婦で考えることではありません。
どの時期に、どんなことを、どんな目的で知りたいか、を夫婦がどう考えているのか整理し、どの検査が適切かを提案するのは医療者の役割です。

出生前検査について、疑問や不安がある時には、胎児診療を行っているところでの遺伝カウンセリングを受けてみると良いでしょう。場合によっては、なにも検査を受けないという選択をするかもしれませんが、家族が納得する選択に行き着くのが一番大切なことです。

監修
FMF胎児クリニック東京べイ幕張 院長 林 伸彦先生
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FMF胎児クリニック東京べイ幕張
院長 林 伸彦先生
           

生まれる前の赤ちゃんを診る「胎児医療」は、日本ではまだ専門家が少ない分野です。
林先生は海外で胎児医療を学び、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張を開院。超音波検査や遺伝カウンセリングを通じて、日々胎児の健康を支えています。

           
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